インタビュー聞き手 編集委員・後藤洋平印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする

[PR]

手頃な価格で知られる「スウォッチ」と、高級時計ブランドの「オーデマピゲ(AP)」が協業して5月に発売したポケットウォッチ(懐中時計)が話題だ。定価が350万円以上の時計と似た形状の製品が5万~6万円台で購入できるとあって、発売日、東京・銀座の店の前には約500メートルの行列ができた。2次流通市場では数倍の価格で売買されている。発売日は銀座に大行列 協業は「双方に大きなメリット」 この協業を主導したスウォッチグループのニック・ハイエック最高経営責任者(CEO)が朝日新聞の書面インタビューに応じ、資本関係のないAPとの協業が実現した経緯や狙い、熱狂する市場に対する心境を明かした。 ――どのようにしてAPとのコラボレーションが実現したのでしょうか。決定的な要因は何でしたか? APとスウォッチグループは、これまでも常に親密でオープン、そしてとてもフレンドリーな関係を築いてきました。我が社は上場企業ですが、我々とAPは共に家族経営の精神を持つ会社です。さらに、多くの時計の内部機構に搭載されている高耐磁性ヒゲゼンマイ「ニヴァクロン」を、両社が共同開発したという縁もありました。 2022年にスウォッチとオメガが協業してバイオセラミックケースで作った「ムーンスウォッチ」が大きな話題になった経緯から、今回の新作が作られることになりました。 というのも、ある日、APのイラリア・レスタCEOから電話があり、一緒にポケットウォッチの新作を作ることで一致したのです。 そこで私たちはすぐに、1980年代に発表した、ブレスレットから時計のケースが取り外せる「スウォッチポップ」を思い浮かべてコンセプトを練り上げました。スウォッチにはAPと違って150年もの歴史はありませんが、世界中の人々の時計着用の意識を変える力と能力があることは示してきたつもりです。 ――発売の2カ月前からティザー広告などを出し、少しずつ商品の詳細を明らかにした宣伝手法も印象的でした。 好奇心を刺激するよう綿密に設計した段階的なキャンペーンは、今回の取り組みでは不可欠でした。これまでのオメガとスウォッチ、ブランパンとスウォッチのコラボでも同様の手法で話題になりました。 今回の協業では、ジュネーブで開かれた見本市「ウォッチズ&ワンダーズ」が開催された4月中旬に「The Real Wonders Are Happening in May(真の驚きは5月に起きる)」とのスローガンを発表しました。 その後もブランド名を一切出さず、ごく限られた色を使うなどして、「Royal」や「Pop」という言葉、あいまいなシルエットといった、謎に包まれた前打ち広告を出したのです。 SNSでは瞬く間に盛り上がり、商品写真の発表前からAIで生成された数十もの予想画像がタイムラインを埋め尽くしたのです。 こうしたキャンペーンは、細部に至るまで社内で準備したものです。結果として、SNS上では200億回以上のビューを獲得しました。 ――ポケットウォッチにした理由は、APの看板時計であるロイヤルオークと同じ腕時計では承認が得られなかったからですか?「便乗商品」については…… ポケットウォッチという選択…この記事は有料記事です。残り1077文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんこの記事を書いた人後藤洋平編集委員|ファッション・メディア・文化担当専門・関心分野ファッション、メディア、文化関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする