2026年6月13日 19時00分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするこの社説のポイント●人材派遣料金を巡るカルテル疑いで、公正取引委員会が大手5社を立ち入り検査●働き手への還元を軽んじ、会社の利益確保を優先していたのなら、悪質な背信行為だ。賃上げの定着にも水を差す●派遣社員の待遇改善を伴う健全な競争が必要。業界は自浄作用を
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人材派遣の料金を巡ってカルテルを結んだ疑いがあるとして、公正取引委員会が独占禁止法違反の疑いで大手5社を立ち入り検査した。不当に引き上げたとされる料金のうち、多くを各社の取り分として、賃上げに十分反映しなかった可能性がある。 派遣社員の待遇改善より会社の利益確保を優先していたなら、悪質な背信行為だ。 全国で不当な価格調整をした疑いが持たれているのは、2023年4月以降の料金。派遣料金の水準は物価高や人手不足を背景に上昇傾向にある。さらに、正社員と非正社員の不合理な待遇差を禁じる「同一労働同一賃金」のルールのもと、人材派遣会社と派遣先企業の料金引き上げ交渉の余地は広がっている。 公取委は、料金の引き上げが受け入れられやすい状況に乗じて各社が請求額を不当につり上げ、競争を避けながら利益を確保したとみている。独禁法違反の疑いで人材派遣業界の立ち入り検査に入るのは、初めてという。 5社が加盟する業界団体の日本人材派遣協会は1月、派遣労働者の公正な待遇確保に向け、派遣先に料金交渉への協力を呼びかける文書を出した。賃上げを大義名分にした交渉の裏で、働き手への還元を軽んじていたなら、物価上昇を上回る賃上げ定着の機運に水を差す不正だ。 人手不足は、派遣会社が労働者を採用するコストを引き上げる要因にもなる。利益が出にくい構造にあるからといって、カルテルによる利益の捻出は許されない。徹底した調査で疑惑の全容を解明してほしい。 人材派遣業はバブル崩壊後に正規雇用を非正規雇用に置き換え、人件費を抑えたい企業の需要と政府の規制緩和によって成長してきた。需要は底堅くあり、厚生労働省によると、24年度の派遣労働者数は約220万人に上る。取引を透明化し、健全な競争を 派遣料金の引き上げ自体は必要であり、それを労働者に適正に分配することが、派遣会社と派遣先の双方に求められている。しかし、業界全体では、派遣料金の上昇速度に比べ、賃金の上がり幅は緩やかな傾向にある。 派遣料金から賃金を差し引いたマージンの比率の平均は公開の義務があるが、派遣社員ごとに率を開示する必要はない。マージンの不透明さが不公正な取引の温床になっていないか。 取引を透明化し、派遣社員の待遇改善を伴う健全な競争ができなければ、業態の存在意義そのものに不信が広がるだろう。業界の自浄作用をしっかりと示してほしい。人材派遣大手5社、全国の派遣料金でカルテルの疑い 公取委立ち入り「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届します。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする







