弓長理佳印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする

[PR]

抽象画家・松本陽子さんの個展「松本陽子 宵の明星を見た日」が、東京・府中市美術館で開かれている。今年90歳を迎えた画家の、美術館では初となる回顧展だ。 展示されているのは、1950年代末の東京芸術大での卒業制作から2026年初頭に描き上げた新作まで35点と、ドローイングなど15点。淡いピンクの抽象画が有名な松本さんの画風の変遷をたどる。アンフォルメルに衝撃 油絵と向き合った日々 幼い頃から絵画教室に通っていた松本さんは芸大に油画専攻で入学。当時は具象、重い絵肌といった欧州の伝統的な様式が重視されていた。だが入学後、抽象美術の新動向アンフォルメルを知った松本さんは衝撃を受け、指導教官だった洋画家・小磯良平の後押しもあり抽象画に取り組むようになる。 府中市美術館の神山亮子学芸員によると、卒業制作では人体を描く必要があり、松本さんは厚塗りで具象の人体像を取り入れた「作品Ⅰ」を提出。卒業後も展覧会で入選するなど好評を得ていたが、松本さんは絵の具を溶く際に使う油の匂いが苦手だったといい、油絵の特性とどう向き合うか、模索する日々が続く。求めていた軽やかさ アクリルで表現 転機は67年。米国に渡り、アクリル絵の具と出会ったことだった。当時新しい画材だったアクリルは商用イラストやポスターなどに用いられることが多かったが、松本さんはその軽やかさに注目。ジャクソン・ポロックらによるアクションペインティングなど米国美術も取り入れ、独自の画法にたどり着く。 大量の水で溶いたアクリルを、床に置いた下地を塗っていないむき出しのキャンバスに染みこませ、布で拭き取っていく。ピンクを選んだのは、重厚な質感には似合わない「軽薄な色」だからだという。神山さんは「水墨画のようであり、染みという偶然から絵を展開させていく感性は東洋的だ」と分析する。 アクリルに取り組んでいたこ…この記事は有料記事です。残り968文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする