インタビューブリュッセル=西尾邦明印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする

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スイスで開かれている国際労働機関(ILO)の総会で、ウーバーやアマゾンなどプラットフォーム(PF)を通じて働く人たちを守る国際条約が議論されている。当初モデルとしたのは欧州の法規制だ。日本と比べて進んでいるとされるが、ベルギーの労働運動家マーティン・ウィレムスさんは「実態は全く改善していない」と話す。どういうことなのか。仕事の割り振りなどに使われるAIアルゴリズムの管理規定の必要性など、条約への思いとともに聞いた。 ――所属は伝統的な労働組合の全国組織ですが、PFの働き手の支援を始めたのはなぜですか。 「2015年ごろからウーバーのようなフードデリバリーが首都ブリュッセルで広がり始めました。一方で、街にあふれる配達員が事故に遭っても補償されず、アプリの判断一つでアカウントを停止される『完全孤立状態』にあることに強い危機感を持ちました。18年からバラバラだった配達員や運転手をつなぎ、組織化を進めました」 ――過去にはどんな支援をしたのですか。 「アフガニスタン出身のスルタン・ザドランさんはウーバーの配達中にバスにはねられ亡くなりました。38歳だった彼は母国の妻と5人の子どもを養うために、遠く離れた場所でわずかなお金のために働き、何の保護もなく、亡くなったのです。労災保険の対象でなく、遺族給付金はありません。言葉は強いですが、一種の奴隷制度の上に社会が成り立っているような戦慄(せんりつ)を覚えました」 「補償の要求に加え、PF経済の働き手の最低限のセーフティーネットを義務づけるための社会運動を展開しました。ストライキを起こし、複数の裁判で配達員や運転手の労働者性を認める判決を勝ち取りました。最低賃金や有給休暇、労災保険の対象とするためです」 ――ベルギー政府も動きました。 「政府は労働法を改正し、23年1月から条件を満たせば、労働者であると推定する仕組みが始まりました。24年10月のEU(欧州連合)指令でも加盟国が同様の法整備を今年12月までに終えることになっています」労災保険の義務化が突然延期 ――日本と比べ進んでいるように見えます。働く環境は良くなったのでしょうか。 「法律があるだけで実態はま…この記事は有料記事です。残り1543文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんこの記事を書いた人西尾邦明欧州総局|経済担当専門・関心分野金融・財政、原発・エネルギー、AI・テクノロジー関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする