【社説】レバノンの戦闘激化 米イラン交渉損なわぬよう停戦実現を2026年6月3日 19時01分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするこの社説のポイント●イスラエルのヒズボラ攻撃激化に反発したイランが米国との交渉停止を示唆●トランプ米大統領は「イスラエル、ヒズボラの双方が攻撃しないと合意した」と主張●停戦の行方は不透明。米イラン交渉を頓挫させないためにも沈静化が求められる
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相互不信が根深い中で薄氷を踏むような交渉が続く。戦火の拡大を横目に見ながらでは、うまくいくはずがない。その不安が現実味を帯びてきたことを憂慮する。 米国とイランの戦闘終結に向けた協議の先行きが、いっそう不透明になっている。原因は、イスラエルとレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの戦闘激化だ。 イスラエルはヒズボラが拠点とするレバノン南部に地上部隊を投入し、制圧地域を広げている。ネタニヤフ首相は首都ベイルートへの大規模な攻撃も指示した。これにヒズボラの後ろ盾であるイランが反発した。 ガリバフ国会議長は米国との交渉停止だけでなく、イスラエルを攻撃する可能性も示唆した。イランの通信社は、ホルムズ海峡の完全封鎖や紅海の出入り口で新たな戦線を開くとも伝えた。 世界の原油や液化天然ガスの2割が通るホルムズ海峡の事実上の封鎖で、各国の経済は打撃を受けている。サウジアラビアが代替として使っている紅海ルートも止まれば、その影響は甚大だ。 トランプ米大統領は1日、イスラエル、ヒズボラと協議したとし、「双方が攻撃しないことで合意した」とSNSに投稿した。ただ、ネタニヤフ氏はレバノン南部での軍事作戦は続ける意向で、停戦が実現するかは見通せない。 トランプ氏は仲介の成果を誇示するだけでなく、イスラエルが実際に行動するよう促さねばならない。長年にわたり多額の軍事援助を供与している米国には、その責任がある。一方、レバノン政府にヒズボラを抑え込む力はなく、イランが影響力を行使することが欠かせない。 レバノンで深まる人道危機は見過ごせない。保健省によると、これまでに3400人以上が死亡した。国連は、人口の2割にあたる100万人以上が家を追われ、660カ所の避難施設に13万人以上が身を寄せているとしている。 国連安保理の緊急会合で、フランスの国連大使はイスラエルに自衛の権利があるとはいえ、「作戦の規模や民間人の死傷、住民の強制移住は正当化できない」と批判した。 米政権高官は5月末、イランとの停戦を60日間延長し、その間に核問題を協議するとの「覚書」で暫定合意したと明らかにした。だが、トランプ氏は最終判断を見送った。 難題には時間をかけ、まずホルムズ海峡の開放を目指す「覚書」の考え方は妥当といえる。早期の交渉妥結のためにも、レバノン情勢の沈静化が求められる。「レバノン攻撃停止合意」トランプ氏主張、ネタニヤフ氏に激怒報道も「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする
















