【社説】予備費大半の補正予算案 白紙委任にさせない国会の精査を2026年5月31日 19時00分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするこの社説のポイント●3兆円強の補正予算案の大半は、政府の裁量で支出が決められる予備費●対象が一律で多額の予算を使う支援から脱却して、制度設計に踏み出すときだ●赤字国債に頼る財源の説明の妥当性も含め、国会で厳しい精査が求められる
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政府は近く3兆円強の補正予算案を決め、国会に提出する。中東情勢緊迫の長期化から国民生活や経済を守るためだとしても、白紙委任を求めるかのようにスピード成立を主張する自民党の姿勢は、看過できない。 大半を政府の裁量で使い道を決められる予備費とする、異例の編成だ。ガソリンや電気・ガス料金の補助などの一律支援を続ける原資とする。需要を刺激しかねず、費用対効果にも疑問が残る支援策をどう修正していくべきか。赤字国債に頼る財源の説明は妥当か。国会で厳しい精査が求められる局面だ。「予見し難い」状況か 憲法は、国会の事前の議決がなければ予算は使えないと定めている。予備費はこの例外として「予見し難い予算の不足に充てるため」に、政府の裁量で支出を決められる。 しかし、米国とイスラエルがイランを攻撃して3カ月あまり、影響は企業の生産や医療、暮らしの現場に様々な形で表れ、全く予見できない状況ではないはずだ。過去の政権で見られたような、目的を都合よく拡大するといった乱用に陥ってはならない。 補正予算案では、中東情勢に限った特定目的の予備費を新たにつくる。ガソリン補助金の財源となる基金が、6月中になくなる可能性が高まっているためだ。電気・ガス料金の夏場の補助にかかる5千億円程度は、当初予算に計上した予備費から支出したため、減少分を穴埋めする。 どちらも恩恵は高所得者や好業績の企業にも及ぶ。限られた資源に需要抑制の必要性も叫ばれるなか、ガソリンや電気をもっと使う方向へと促すことにもなる。一律の支援からの脱却は ガソリンの場合、政府は1リットルあたり170円程度に抑えるため、月4千億~5千億円の巨費を投じてきた。しかし、その妥当性には、自民党幹部からも「現在の支援の水準を続けていくのは、現実的ではない」と苦言が相次ぐ。補助の規模の見直しにとどまらず、一律の支援から脱却し、負担が大きい企業や個人に絞った支援策の制度設計の検討に踏み出すときだ。 3兆円強の財源は、前年度に税収増で発行せずに済んだ赤字国債に相当する額だが、「追加的な赤字国債に頼らなくてもいい」(片山さつき財務相)との説明は納得できない。財政悪化の懸念などで金利は上昇傾向で、国債の利払い費も増え始めている。 予算を吟味し、発行額を減らす努力をしたのか。責任ある積極財政を掲げる政権の、試金石となる補正予算案だ。責任を軽んじるような姿勢は改めなければならない。カルビー対応に官邸「売名行為だ」 中間製品まで含めナフサ充足強調「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする






