インタビュー医療取り巻く環境が変化 「診療報酬のあり方、腰を据えた議論必要」聞き手・友野賀世印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする

[PR]

医療サービスの公定価格「診療報酬」が6月から見直されます。診療報酬は医療機関の収入源で、見直しは2年に1度。物価や賃金が大きく上がるなか、今回は3.09%の引き上げ(2年間平均)となります。30年ぶりの高水準です。今回の診療報酬改定をどう評価すべきでしょうか。さらに物価や賃金が上がることを想定すると、今後の診療報酬改定の形はどうあるべきでしょうか。国際医療福祉大学大学院の島崎謙治教授(医療政策)に聞きました。物価高・賃上げ対応で初診190円上乗せ 6月1日から診療報酬改定 バブル経済が崩壊して以降、この30年間、物価や賃金はほぼ横ばいで推移しました。このため、診療報酬改定に当たって、インフレや賃上げの問題は考えずに済んできました。しかし、数年前から日本経済の局面は明らかに変わり、物価や賃金の上昇が続いています。医療関連職種のなり手 減少傾向 こうした動向に対応し診療報酬を適切に引き上げないと、医業経営の逼迫を招くだけでなく、医療人材が他産業にとられて医療の職場に入ってこなくなります。実際、看護師をはじめ医療関係職種のなり手が減少する傾向がみられます。私は国民皆保険が崩れる最大のリスクは、人手不足で医療サービスを提供できなくなることだと考えています。 もちろん、診療報酬を引き上げると、社会保険料であれ、公費(税金)であれ、患者の自己負担であれ、国民の負担に行き着きます。したがって、病院の再編・統合や経営の効率化をはじめ医療機関側の経営努力も必要ですが、国として診療報酬をしっかり上げ、賃金を他産業並みに引き上げるという強いメッセージを打ち出すことが欠かせません。【そもそも解説】診療報酬とは 技術・サービス5千項目、価格は一律 今回の診療報酬改定は2026年度と27年度の2年分を見通して、2段階で物価や賃金の変動に対応する内容になっています。さらに、26年度の実際の物価などが見通しと大きく異なった場合には、27年度予算の編成過程で調整することも盛り込んでいます。つまり、2年に1度ではなくその途中の改定(期中改定)もあり得るということですが、物価や賃金の上昇が当たり前になった時代には、改定のルールそのものを見直すべきではないでしょうか。物価・賃金動向に対応するため 毎年改定を 今の中東情勢もそうですが、物価の先行きを正確に見通すことは困難です。また、診療報酬の改定率を決めるのは年末の予算編成過程のときなので、春闘よりも前です。さらに1年以上先の春闘の相場がどうなるかは予測できません。要するに、2年先まで見通して、物価・賃金の動向を診療報酬改定に織り込むことには無理があるのです。 したがって、物価や賃金の動…この記事は有料記事です。残り2529文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんこの記事を書いた人友野賀世編集委員専門・関心分野社会保障、高齢期の暮らしにかかわるあれこれ関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする