海外赴任中の健康管理マニュアル 息子失った遺族と企業が共同作成2026年5月29日 14時31分遠藤美波印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする
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プラントメーカー大手のカナデビア(大阪市、旧日立造船)のエンジニアとして勤務していた男性(当時27)がタイ駐在中に命を絶ったことをめぐり、カナデビアと遺族が共同で、海外で働く社員の健康管理のためのマニュアルをつくった。29日、大阪市内で記者会見し、発表した。【遺族の思い】海外赴任中に命を絶った息子 「もう二度と」母の決意が会社を変えた 遺族側の代理人弁護士によると、企業と遺族が共同で再発防止のマニュアルをつくるのは異例だという。 海外赴任中の労働者には原則、労働基準法が適用されない。死亡リスクが高まるとされる「過労死ライン」を超える時間を働いても労働基準監督署の指導が及ばないため、適切な労働時間の管理などが行き届かずに過労死や過労自殺に至る事例が問題となっている。 今回、カナデビアと共同でマニュアルをつくった遺族は、富山市の上田直美さん(55)。2021年、タイ中部のラヨーンに駐在していた長男の優貴さんを亡くした。 大阪南労基署は24年、海外での慣れない業務や時間外労働、上司からの叱責(しっせき)など、業務の心理的負荷が大きかったとして、労災と認定した。これを受けて、再発防止を望む直美さんが、マニュアルづくりをカナデビア側に提案して実現した。 マニュアルは、カナデビアで1カ月以上海外に派遣される社員らについて、出発前、海外への着任後、帰国後のそれぞれの段階で、会社側が配慮すべき内容を列挙した。 安心して海外で働けるよう、所属長らが派遣先での業務内容や勤務時間などを細かく事前に説明したり、派遣者への研修を充実させたりすることを定めたほか、心理的なケアも充実させた。 具体的には、海外派遣者のための相談窓口を設け、本人だけでなく家族にも周知する▽入社3年目までの若手や、初めて海外派遣される社員には指導役を同行させる▽現地では日本の労働時間規制を守り、毎月の面談で疲労感や帰国の希望を確認する――といった内容を盛り込んだ。遺族「企業のモデルケースに」 直美さんは、このマニュアルをつくるため、25年2月から10回にわたり会社側と打ち合わせを重ねてきた。「こういう内容が守られていたら、息子は死なずにすんだかもという思いを込めた」と話す。 また、優貴さんが働いていたカナデビアに対し、直美さんは「今後はマニュアルを守って海外での過労死を起こさない企業のモデルケースになってほしい」との期待を持っているという。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする







