深掘り2026年5月29日 6時00分(2026年5月29日 14時37分更新)有料記事遠藤美波印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする

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5月24日、社員1万2千人を抱える大企業のトップが富山県内の住宅を訪れた。 プラント大手・カナデビア(大阪市、旧日立造船)の桑原道社長。出迎えたのは、カナデビア社員だった上田優貴さんの母・直美さん(55)。 長男の優貴さんは、タイに長期赴任中だった5年前、慣れない異国での生活や仕事で追い詰められた末、命を絶った。27歳だった。 なぜ、息子は死を選ぶまでに追い込まれたのか。どうすれば同じ事態を防げるのか――。 3年後、直美さんはカナデビアに対して、再発防止につながるマニュアルづくりを提案した。 直美さんとカナデビアの社員は10回にわたる会議を重ね、マニュアルを完成させた。桑原社長の訪問は、それを自ら直美さんと優貴さんに報告するためだった。海外赴任中の息子を亡くした母がこだわったのは、「もう二度と同じ悲劇を起こさせない」ことでした。会社側に根気強く働きかけ、前例のないマニュアルづくりが始まりました。マニュアルの詳細は、遺族と企業がともに並ぶ29日午後の会見で公表されました。記者サロン「海外赴任と過労死」申し込みはこちらから 桑原社長は優貴さんの遺影に手を合わせたあと、直美さんに向き合い、こう言ったという。 「これからマニュアルに魂を入れていくのが我々の役割。二度と同じことが起こらないよう、実行で示します」 面会は約1時間半で、桑原社長は「自分たちの価値観を若い世代に押しつけていたのではと反省している」とも語ったという。 直美さんは「誠実に対応して頂いた。今後をお任せしても大丈夫だと思った」と振り返る。最後のLINEに感じた違和感 直美さんが優貴さんの訃報(ふほう)を知ったのは、2021年5月1日にカナデビアの担当者からかかってきた電話だった。 「優貴さんが現地プラントから落下して亡くなりました」【公表されたマニュアル】息子失った遺族と企業が共同作成 海外赴任中の健康管理マニュアル 思い返すと、息子と最後にや…この記事は有料記事です。残り931文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする