【社説】壁にぶつかる整備新幹線 半世紀前の計画、検証が必要なとき2026年5月25日 19時01分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするこの社説のポイント●人口減などの影響で、国が主導して公費も投入する整備新幹線の意義が改めて問われている●JRが払い、未完成区間の建設費の一部に充てられる貸付料のルール改定を国交省が模索している●整備新幹線計画が作られたのは半世紀前。受益と負担のバランスを踏まえ、現実的な計画を導き出す必要がある
[PR]
人口の減少や建設費の高騰で、公費を投入して進める整備新幹線の意義が改めて問われている。北海道、北陸、西九州の未完成区間は計画通りに事業を進めるのか。JRと国や自治体の費用負担の望ましい形とは。国とJRは、半世紀前に策定した計画のその後の検証を進めるときだ。未完成区間は3区間 整備新幹線は高度成長末期の1973年、人口の増加を前提に全国の主要都市をつなぐことを描いた国主導の計画だった。建設費には、JRが線路の使用料などとして30年間払う「貸付料」の一部を充て、残りを2対1の割合で国と沿線自治体が持つ仕組みだ。私たちが払う運賃や税金と、密接に関係している。 未完成区間は北海道の新函館北斗―札幌、北陸の敦賀―新大阪、西九州の新鳥栖―武雄温泉の三つ。北海道は、2016年に先行開業した新青森―新函館北斗が赤字だ。建設中の新函館北斗―札幌は財務省が4月、建設費の膨張で「基本的に中止すべき水準」と評価した。その後に延伸工事の談合疑惑が発覚。価格競争が阻害され、落札価格が高止まりした恐れも出ている。 北陸は延伸ルートが定まっていない。西九州は整備方式や財政負担をめぐり沿線自治体の意見がわかれ、着工のめどがたたない。どこも自治体の財政悪化や物価高の影響で開業時期が計画より大きく遅れ、建設費は今後さらにふくらむ可能性が高い。国は着工ありきで計画を進めるのではなく、延伸の意義や費用負担について、根拠ある説明と情報開示に努めるべきだ。活路を見いだせるか 未完成区間の建設費の負担減をめざし、国土交通省が活路を見いだそうとしているのが、JR各社が定額で負担する貸付料のルール改定だ。整備新幹線として初めて開業した高崎―長野の30年間の支払期間終了が1年後に迫り、国交省は新ルールを模索する。 各社の経営状況は、都市部に路線を多く持つ東日本などと北海道で異なる。物価高が広がるなか、新幹線の運行費用はふくらむ。収益が見込みを大きく上回った場合は貸付料を増やし、逆の場合は減らす仕組みが検討されている。ただ、JRの支払いが増えれば運賃や乗客数に影響が出る可能性もある。利用者目線での開かれた議論が不可欠だ。 鉄道網はつながることで、移動時間の短縮や地域経済への効果が期待されてきた。だが、財政悪化と人口減や高齢化で、在来線も含め維持がままならない路線は増えている。貸付料の議論にとどまらず、受益と負担のバランスを踏まえ、現実的な計画を導き出す必要がある。北海道新幹線延伸に打撃 膨らむ建設費、対策検討の最中の談合疑惑「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする







