2026年5月24日 9時00分中川史印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする

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小走りができるようになったばかり。1歳ぐらいの女の子が1人、裸足で雨の中を駆けていた。 勤務を終えて三重県川越町の金属加工会社「続橋製作所」を徒歩で出たベトナム人のグエン・ヴァン・クーさん(33)とゴ・チュン・キエンさん(27)が気付いた。雨が本降りになった4月23日の夕刻のことだ。 「車がたくさん走っているのに」。危ないとその身を案じたクーさんが、急いで女児に近寄り、抱き上げた。 案の定、近づいてきた車が急停車し、運転手が何か叫んだ。「○×△……!」。意味は分からなかったが、「子どもの父親だと思ったんじゃないかな」。会社に傘を取りに行ってくれたキエンさんが戻ってきた。見知らぬ人に抱っこされて泣く女児に、優しく声を掛けながら、会社に連れ戻った。 着いた頃には女児は泣きやみ、同僚の女性社員がタオルで女児を拭いてくれた。そして110番。四日市北署員に引き渡した。 一方、この約40分後、同署に慌てた様子の女性から「1歳8カ月の娘がいなくなった」と110番があった。買い物に出た間、息子と自宅にいたが、母を探して外に出たのか姿が見えなくなったという。母親は、署員と保護された場所や着衣を確認し合い、落ち着いた様子で署へ引き取りに来た。 女児が保護されたのは国道23号も近くを通る交通量の多い場所だった。四日市北署は5月20日、「生命の危険がある女児を発見し、適切な対応で救助した」などとして尾嵜隆則署長から2人に感謝状を贈った。大橋拓也副署長も「知らんぷりをする人もいるかもしれないのにお手本です」と語った。 エンジニアのクーさんには、故国の都市フエ近くに妻と2歳、6歳の娘がいるという。 「同じくらいの年の子どもが、無事に家に帰ってうれしい。それだけです」。家族は今年8月に来日予定だといい、顔をほころばせた。 キエンさんも「うれしい。良かった」と、はにかんだ笑顔を見せた。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする