【社説】ネットカジノ対策 「通信の秘密」を侵さぬよう極めて慎重に2026年5月23日 19時01分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするこの社説のポイント●総務省の検討会で、オンラインカジノサイトへの接続遮断の可否が議論されている●導入されれば、一般ユーザーの「通信の秘密」の侵害につながる。極めて慎重であるべきだ●被害は野放しにできない。違法の周知や捜査などの対策を尽くし、相談体制を充実させたい
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オンラインカジノは若者の利用も多く、依存症の問題も深刻になっている。被害を抑えるため、インターネットの当該サイトへの接続を遮断する手段(ブロッキング)に踏み込むかどうか。総務省の検討会がまとめた報告書案は、判断を先送りしつつ、将来的な可能性は排除しなかった。 ただ、ブロッキングは、すべてのネットユーザーの通信が把握されることが前提になり、「通信の秘密」の侵害につながる。導入には極めて慎重であるべきで、他に取り得る対策を尽くすのが先決だ。日本からアクセスし、金をかければ違法 オンカジは、海外で合法的に運営されているものであっても、日本からアクセスし、金を賭ければ刑法の賭博罪にあたる。警察庁によると国内の利用経験者は推計で約337万人、賭けの総額は年間約1兆2423億円にのぼる。 野放しにしてはならない。だが接続の遮断には、ネット接続を提供する事業者がユーザーの閲覧先を網羅的に確認する必要がある。政府がネット空間を常時把握できる仕組みにつながらないだろうか。「例外的」措置が際限なく拡大していく懸念も拭えない。 国内では2011年から、児童ポルノサイトに限って警察からの情報をもとに民間事業者が接続を遮断している。被害者に生じる取り返しのつかない傷の重みを踏まえ、刑法の「緊急避難」に当たるとした、例外的な対応だ。 一方、18~19年には漫画などの海賊版サイトへの導入も検討されたが、経済的利益の確保の観点だけでは国民の権利を侵害する正当性は見いだせないとして、見送られた。 ネットカジノでは、依存症でまっとうな人生が送れなくなり人格的利益が損なわれるとの指摘もある。無視できない論点だ。だが、憲法で保障された「通信の秘密」の侵害が無数のユーザーに生じる不利益とのバランスをどう考えるか。精密な議論が必要だ。 遮断したところで回避策はあるとの指摘も見逃せない。違法の周知、捜査など対策強化を まずは政府が包括的対策を進めることが重要だ。警察庁の調べでは、利用者の44%が違法と認識していなかった。さらなる周知が不可欠だ。 昨年の法改正でサイト開設や広告、誘導が禁止され、一定の効果が出ているという。金融機関はオンカジ関連と疑われる不自然な送金の停止を、警察はサイトを運営する海外の事業者への捜査や海外当局への協力要請を。あらゆる手立てを講じてほしい。 また、オンカジ対策だけで依存症の問題が解決するわけでもない。本人が依存症であると気付き、治りたいと思える相談体制を充実させたい。ブロッキング、将来の導入否定せず オンラインカジノ対策で総務省「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする









