「禁忌薬は血圧の薬」と誤認 抗菌薬処方、患者の難病発症で病院会見2026年5月22日 6時30分嶋田圭一郎印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする

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三重県桑名市の地方独立行政法人・桑名市総合医療センターで、患者への薬の処方を誤り、患者が重篤な難病を発症し死亡した問題で、患者のカルテ上には過去の薬のアレルギー歴が明記されていたが、その薬を血圧の薬だと思い込んだため、処方ミスにつながったことがわかった。 センターの山田典一病院長らが21日、記者会見で明らかにした。山田病院長は、患者が難病に陥った原因について「投薬との関連性が極めて高い」との見解を示し、「痛切に責任を感じている。ヒューマンエラーは必ず起きるが、全職員が気づいた時に芽を摘んでいく」と述べた。 投与してはいけない禁忌薬を院内で共有するといった再発防止に取り組んでいるという。患者は3月に敗血症性ショックで死亡したが、センターは今後、難病発症と死亡との因果関係を調べるとしている。 センターによると、患者は気管支ぜんそくの男性(当時60)。2月に入院し、医師はステロイド治療で心配される感染症を防ぐため、抗菌薬の「バクトラミン」(商品名)を処方した。しかし、男性は別の病院で2014年に同じ成分の薬でアレルギーを発症していたため、処方してはならない薬剤だったという。 センターは、朝日新聞の取材に対し、過去にアレルギーを発症した薬剤について「バクトラミン」と説明していたが、会見で商品名が「ダイフェン」だったと修正した。 両剤はいずれも、二つの成分が配合された抗菌薬である「ST合剤」で、電子カルテには付箋(ふせん)で「『ダイフェン』禁忌」と書かれ、投与してはいけないことが明示されていた。 だが、医師はダイフェンがバクトラミンと同じST合剤とは知らず、血圧の薬と思い込んでいたため、バクトラミンを処方したという。薬剤師も電子カルテの禁忌に「気づけなかった」と話しているという。 また、薬剤アレルギーの有無について、男性は問診時に「ない」と答えていたといい、センターは「本人も記憶していないようだった」とした。 バクトラミンの添付文書は、ST合剤でアレルギーが起きた患者には投与してはならない「禁忌」と記載。「重大な副作用」として、男性が発症した難病の「スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)」や、SJSから進行したより重篤な「中毒性表皮壊死(えし)症(TEN)」などを挙げている。 センターは、男性の死亡診断書の病名にTENの記載があったことを確認。三重大学医学部付属病院に病理解剖を依頼したが、難病発症と死亡との因果関係はまだわかっていないという。遺族とは並行して補償交渉を進めていくという。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする