【社説】シャトル外交定着の日韓首脳会談 両国の利害超える視野を2026年5月20日 19時00分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするこの社説のポイント●エネルギー協力などで合意した日韓首脳会談は、関係の良好さを打ち出す場となった●シャトル外交の定着は望ましい。合意の着実な進展も今後問われる●大国の力の支配は日韓に結束を迫る。信頼を深めつつ視野の広い議論を求めたい

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高市早苗首相と韓国の李在明(イジェミョン)大統領が1月以来、4カ月ぶりに会談した。前回は奈良、今回は韓国の安東(アンドン)が舞台だった。互いのふるさとを訪ねあい、日韓関係の良好さを内外に打ち出した。 2022年以降の関係改善の流れは、両国のトップが代わっても続く。高市氏と李氏の首脳会談だけで今回が3回目。日帰りでも行き来できる隣国だけに、首脳同士のシャトル外交が定着することは望ましい。 1月の会談以降、中東情勢の混乱とエネルギー供給の不安定化という変化があった。日韓は原油を中東に大きく頼る。両首脳は今回、インド太平洋地域のエネルギー供給網の強化や原油の融通などの協力を打ち出した。打開策はまだ見えないが、共通の課題で議論を深めて欲しい。 国際情勢の激変は、ともに米国の同盟国である日韓両国の立場を難しくした。米トランプ政権が東アジアへの関与を減らす可能性は絵空事ではない。高市氏と李氏が北朝鮮への対応などをめぐり日韓、日米韓による安全保障協力の重要性を再確認したのは苦しい状況の裏返しでもある。 今回の日韓会談は、トランプ氏が中国の習近平(シーチンピン)国家主席と会談した直後だった。米中が北朝鮮への対応などで日韓の頭越しに話を進めれば、アジアの秩序や安保環境を揺るがしかねない。両大国への働きかけは容易ではないが、日韓は結束と意思疎通の深化をこれまで以上に迫られている。 協力の進展も問われる。少子高齢化など共通の課題の解決策をさぐる政府間協議や、戦時中の事故で朝鮮半島出身者を含む183人が犠牲になった「長生炭鉱」(山口県宇部市)で発見された遺骨のDNA型鑑定など、合意を着実に進めていくことが信頼を深めるのに欠かせない。 強大な軍事力・経済力を持つ大国による力の支配が大手を振る世界。法の支配や民主主義といった価値観を共有する日韓の連携は、二国の利害を超えた意味を持ちうる。経済や社会課題、安全保障といった様々な分野でどんな協力が出来るか。視野の広い議論を深めたい。 日韓の人の行き来は昨年1300万人を超え、過去最多となった。食や大衆文化が互いの日常に定着し、交流は厚みと広がりを増す。そうした交流は可能性の源泉だ。一方で歴史や領土をめぐる見解の違いは今も火種として残る。過去に真摯(しんし)に向き合い、草の根の幅広い交流に水を差さないこともまた政治の大事な役割となる。日韓首脳会談の舞台・安東は歴史のまち 高市首相、次は温泉地を提案「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする