【社説】中東情勢で政府が補正予算検討 場当たり的な対応から転換を2026年5月18日 19時00分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするこの社説のポイント●高市首相は、補正予算の編成も視野に、中東情勢を踏まえた負担軽減策を行うと表明●電気・ガスやガソリンの料金補助を想定。恩恵は高所得者にも及び、需要も支えてしまう●財政悪化の懸念などから、長期金利は約29年ぶりの高水準に。場当たり的な対応は改め、支援の対象を絞って需要抑制策にも目配りを

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中東情勢の悪化や長期化から国民生活を守るには、必要な支援策の対象を絞り、メリハリをつけることが大切だ。高市政権は、事態の早期沈静化を前提にしたような場当たり的な対応を改め、節約などの需要抑制策にも目配りして対策を進める必要がある。 高市早苗首相は18日、補正予算の編成を視野に、新たな財政支出が必要な負担軽減策を行うと表明した。これまで、補正予算の編成は「直ちに必要な状況とは考えていない」などと否定していた。 具体的には、原油や液化天然ガス(LNG)の価格高騰が料金に反映される電気・ガス料金について、暑さで冷房の使用量が増える7~9月に補助を再開する。 ガソリンの平均価格を1リットルあたり170円程度に抑えている補助金も続ける方向だ。原資となる基金は、6月下旬ごろにも底をつくおそれがある。政府は、当初予算に1兆円計上した予備費を基金の不足分に充てる考えだったが、事態の長期化で足りなくなる可能性が高まった。一律ではなく、絞った支援を 補助の恩恵は高所得者や好業績の企業にも及ぶ。原油不足のなか、むしろ電気やガソリンを使う方向に促すことにもなる。全員が対象の補助ではなく、負担感が大きい低所得層に絞って給付金を配ることや、ガソリン補助の水準を見直す検討が必須だ。自民党幹部からも「170円を全く見直しせずに延々と続けるのは、かなり無理がある」といった声が上がる。 財政の負担も直視が必要だ。相場にもよるが、補助は電気・ガス料金は3カ月で数千億円、ガソリンは月で約5千億円かかる可能性がある。これに加え、連立を組む日本維新の会や複数の野党は、企業の資金繰り支援などを主張している。これまでのように、規模を追い求める補正予算が編成されることがあってはならない。金利上昇リスクも 政府の今年度当初予算は、一般会計の総額が過去最大の122兆円超にのぼり、4月に成立したばかりだ。世界的な物価上昇と財政悪化への懸念から、日本の長期金利は首相が負担軽減策を表明した18日、2.8%と約29年ぶりの高水準をつけた。財源を大きく赤字国債に頼るならば、財政悪化への懸念が強まり、金利を一層上昇させかねない。 企業の間には、石油関連製品の受注調整や停止の動きに加え、「石油原料節約」の仕様へ切り替える包装が広がる。首相は状況を楽観視せず現場の危機感を共有し、事態の長期化を前提に、国民の不安に具体的な対策を示して向き合ってほしい。魔法の言葉「責任ある積極財政」 国内外から相次ぐ警鐘、その内実は「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする