インタビュー日米韓シンクロする「ファンダム政治」 好き・嫌いで社会二極化聞き手・箱田哲也印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする
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日に日に世界が悪くなる。それは先進国の民主主義が軒並み傷んできたからなのか。「まさか」と震撼(しんかん)させた非常戒厳の衝撃から約1年半、隣国・韓国は落ち着きを取り戻したかのように見えるが、無条件に「推し」を支える「ファンダム政治」が台頭し、社会を二分する。韓国の言論人、政府高官として長く日米の社会を見つめてきた李東官(イドングァン)さんは指摘する。「他人事ではない。日本の民主主義もいま、分岐点に立っている」 ――2月の総選挙をずっと日本で見ていましたね。 「1月の解散会見で高市早苗さんは、信任を得られなかったら責任をとるとし、『(中道改革連合共同代表の)野田(佳彦)総理なのか、斉藤(鉄夫)総理なのか……間接的ですが、国民の皆様に総理大臣を選んでいただく』と訴えました。その瞬間、これは自民党が大勝するぞと確信しました」 ――あの会見だけで? 「私は長く韓国の大型選挙を見てきました。いろんな選挙がありましたが、強い逆境をはねのけてきたのは、一見、無謀な賭けのような決断に、自らのすべてを投じた人たちです。韓国では金泳三(キムヨンサム)、盧武鉉(ノムヒョン)という大統領がそうでした。日本では2005年の郵政解散の小泉純一郎首相もそうです。まさに勝負師。その姿を高市さんに見たのです」 ――政策論争を棚上げした人気投票になったと言われます。 「その設定もたくみでした。永田町の関係者に聞くと、初当選した自民議員の中には、なぜ自分が当選したのか不思議がっている人もいるそうです。日本は議院内閣制ですが、高市さんは、有権者が政治リーダーを決める直接選挙であるかのように訴えた。今回、私が東京で目にしたのは、韓国で慣れ親しんだ大統領選そのものです」 ――韓国では、民主化によって実現した大統領直選制の弊害が指摘され、選挙制の変更を含めた改憲論が出ています。 「大統領制には多くの問題があります。これまで韓国大統領を見てきましたが、それぞれ自分のやり方で選挙に勝ってきたという自信や自負があり、次第に異論に耳を傾けなくなっていく。ただ、それは何も権力が集中する大統領だけの話ではありません。ワイマール憲法下でヒトラーが台頭した例を出すまでもなく議院内閣制も決して安心できない。東南アジアには議院内閣制で独裁国家になった国がたくさんあります。統治形態にかかわらず、私が興味深く見ているのは、大きく見れば、米国、韓国、日本がシンクロしつつあることです」推しを勝たせたときの至上の喜び ――日米韓がシンクロ? 「ひとつはファンダム政治で…この記事は有料記事です。残り4334文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする







