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イエメンの親イラン武装組織フーシが、イエメン西部の紅海沿岸部全域を制圧したことで、世界のエネルギー供給がさらに混乱する恐れが高まった。紅海から外洋に抜けるバブルマンデブ海峡での情勢の変化が、ホルムズ海峡をめぐる米国とイランの対立に、影響を与えることは必至だ。フーシ、紅海沿岸の全域を制圧か 二つの海上要衝、同時に高まる危機米は攻撃要請拒否、戦線拡大を懸念か 複数の米メディアは11日、バブルマンデブ海峡を通じて原油を輸出しているサウジアラビアがフーシへの攻撃を米国に求めたが、米国は現時点で拒否していると報じた。 米メディアのアクシオスによると、サウジアラビアのムハンマド皇太子は10日、トランプ米大統領に2度にわたって電話をかけ、フーシへの攻撃を要請した。だが、トランプ氏は拒否したという。米当局者らは「直接介入する計画はないと強調した」としている。協議に詳しい関係者の話として、米当局は過去数週間、サウジに対し、トランプ氏の指示は、米軍の重点をイランへの対応とホルムズ海峡に集中し、新たな戦線を開くことを避けるものだと伝えていたと報じた。 米CBSも11日、情報筋の話として、「トランプ氏はこれまでのところ米軍の直接的な関与を拒否し、代わりに情報提供や標的指定の支援などを提案している」と報じた。 11月の中間選挙を前に、トランプ政権はこれ以上の戦線の拡大は避けたいものとみられる。米紙ウォールストリート・ジャーナルは9日、トランプ氏の側近が、イランとの戦闘が大統領の任期満了まで長引く可能性があることを、トランプ氏に非公式に伝えたと報じていた。 米CNNは、イランとの戦闘が6カ月以上続き、米軍はすでに戦力が分散しており、手薄になっていると報道。米軍は弾薬不足に直面しながら、ホルムズ海峡周辺での作戦に注力しているとして、「現時点では、米国の支援には厳しい制限がある」と関係者が述べたと報道した。圧力をかけるイランの狙い 一方、イランのアレフ第1副大統領は11日、「英雄的な勝利を喜んでいる」とX(旧ツイッター)に投稿した。 イランはフーシについて、公式には「独立した勢力であり、誰の指令も受けていない」(バガイ外務省報道官)としている。ただ、ロイター通信は10日、イラン高官などの話として、革命防衛隊の幹部らが最近、イエメンを訪れ、サウジアラビアへの攻撃を助言したほか、武器などの支援を約束したと報じた。 イランにとっては、フーシがバブルマンデブ海峡の通航の管理を握ることは、二つの点で好都合となる。 まず、ホルムズ海峡に加え、紅海のバブルマンデブ海峡の航行にまで影響が広がることで、原油価格の高騰を期待する。米国内のガソリンの値上がりにもつながり、中間選挙を控えた米トランプ政権に圧力をかけられるからだ。 もう一つは、米軍の戦力を分散させることだ。ホルムズ海峡の周辺海域では、米軍が、イラン関連の船舶を妨げる海上封鎖のために軍艦などを集中させている。 現時点では米国はフーシに対する攻撃を拒んでいる。だが、フーシがバブルマンデブ海峡の通航を掌握して、原油価格が高値をつける状況が続くと、軍事的な対応を取らざるをえなくなる可能性がある。米軍が海上の監視活動を含めた戦力を割くことになれば、イランにとってホルムズ海峡で軍事的にも優位に立つ状況が生まれる。 イランは、米国が求めるホルムズ海峡の開放の条件として、米国による海上封鎖の解除を繰り返し求めてきた。だが、米国は応じる気配を見せていない。 これに対して、軍部は「我々は防御や抑止の段階を終え、攻勢に入る局面を迎えた」(革命防衛隊幹部)など、強気の姿勢を崩していない。 だが、9月に入って、イランのタンカーが米軍に繰り返し攻撃されている。経済収入の柱である原油を運ぶ手段を失う恐れがある。 そのため、和平に向けた協議に戻る余地を残している。紅海の情勢の変化は、米国に経済、軍事の両面で圧力をかけ、イランに有利な条件を引き出すことにつながる可能性がある。アラグチ外相は10日、米国との仲介役を務めるパキスタンのムニール陸軍元帥と電話で会談した。イラン攻撃なぜ起きた? 終結へ交渉の行方は? 知っておきたい要点