2026年9月11日 19時00分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアするこの社説のポイント●国際的な学力調査で、日本は読解力の得点が低下。世界的な傾向で背景分析が急務●学校の勉強でのAI利用は、OECD加盟国で最も頻度が低かった●科学、読解力、数学の3分野とも日本は上位に。一方で最下位層の割合が増えた。学力格差拡大が懸念される
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各国の15歳の学力を測定する経済協力開発機構(OECD)の調査「PISA(ピザ)」の結果が公表された。2025年に実施され、日本では高校1年生約6500人が受けた。 日本の生徒は「科学」「読解力」「数学」の3分野のうち、読解力で、前回と比べて有意な得点低下がみられた。読解力、OECD平均も低下 読解力はあらゆる教科学習の、さらには社会生活の基盤ともいえる大事な力だが、低下したのは日本に限らない。OECD平均では前々回から有意な低下傾向が続いており、世界的な課題といえる。AI(人工知能)の普及やSNSの長時間利用、経済格差などが影響していないか。背景の詳しい分析が急務だ。 AIに関する興味深い結果も示された。 学校の勉強でのAIの利用頻度は、日本はOECD加盟国で最も低かった。他方、科学の得点は加盟国中1位。学校で、AIが生成した情報の質を評価することを学ぶ機会があり、かつAIを学習の助けとして適度な頻度で使う生徒は、科学の得点が高い傾向がみられた。AIとの付き合い方を学校で本格的に教えようとしている日本にとって、示唆に富む結果ではないか。 AIの利用は既に子どもの間で急速に広がりつつある。AIに思考を「丸投げ」するのではなく、あくまで自分の思考を深める補助ツールとして使うよう、繰り返し伝えていかなければならない。「世界トップレベル維持」と文科省 日本の順位は科学5位、読解力4位、数学5位。いずれも1~3位は、北京、上海といった一部が参加した中国やシンガポールなどOECD非加盟の国・地域で、加盟国に限れば日本は全分野で1位。文部科学省は「世界トップレベルを維持した」という。 心配なのは、成績を6段階に分けたときの最下位層の割合が、日本では3分野とも前回から増えたことだ。保護者の収入などに基づく指標が低い層ほど家庭学習の時間が減っているとの調査もあり、学力格差の拡大が懸念される。 新学習指導要領では、学校の裁量で授業の時間を短縮するなどして、生まれた時間を個々の子の苦手分野の学習などに充てられる制度が新設される方向だ。つまずきの早期発見と支援につなげたい。PISAのデータ、子ども支えるために PISAは始まって四半世紀が過ぎた。結果が出るたびに日本の順位が注目され、教育政策に大きな影響を与えてきた。順位に関心が集まりがちではあるが、大事なのは、学びから取り残される子どもを減らし、個々の力を伸ばす教育をどう実現するかだ。PISAのデータを、子どものために生かしていきたい。「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません













