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5月中旬、福島県いわき市。硫黄のにおいが漂う温泉街の一角にある住宅で、その白髪の男性は庭の手入れをしていた。 不正について問うと、言葉少なにつぶやいた。「こんなになっちゃって、残念です」「責任は大きいですよ、トップだったんだから」 10月下旬に再訪した。インターホン越しに「何も申し上げられない」と言うだけだった。 いわき信用組合元会長の江尻次郎(77)。昨年11月に辞任するまで20年にわたり、理事長や会長として、役職員約180人の地域の金融機関で実権を握ってきた。 記者の再訪の数日後。自ら現金を手渡すなど、反社会的勢力に巨額の資金提供をしていたことが明るみに出ることになった。 信組の特別調査委員会の報告書や関係者への取材で経緯をたどる。【連載㊥はこちら】「多少のコンプラやむを得ない」 信組が踏み切った「最悪の禁じ手」【連載㊦はこちら】「パソコン破壊」とうそ、会見でも虚偽 信組幹部ら、繰り返した隠蔽いわき信組から反社への資金提供巨額の不正融資が発覚していた福島県のいわき信組が、反社会的勢力に20年以上にわたり資金を提供していたとして、金融庁が10月31日、一部業務停止命令を出しました。信組の特別調査委員会が公表した報告書や関係者への取材から、反社に食いつくされていく地域の金融機関の経緯をたどります。 始まりは1990年代。バブルがはじけた時期だった。 信組には、暴力団関係者と親交のある理事がいた。94年ごろ、右翼団体が信組本部や幹部宅前で「暴力団関係者との癒着」を激しく糾弾する街宣活動を繰り返すようになった。止まらぬ右翼の街宣 現れた「仲介役」の男性 対応に悩む信組に、融資先の…この記事は有料記事です。残り1174文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

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この記事を書いた人福冨旅史東京社会部|司法担当専門・関心分野事件、調査報道、平和関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする