現場から「どう生きたいか」定めるのが大事 性別変更した男性が挑んだ村長選藤井匠印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする

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標高1千メートル級の山々に囲まれた人口700人ほどの村で、ある男性が村長選に挑んだ。 性的少数者であることを自ら公表している人が自治体の首長選に立候補した、数少ない例の一つとみられる。 なぜ立候補し、何を訴えたのか。 25日午後、岡山県の西北端にある新庄村。その一つの登山口で、白いTシャツ姿の男性がカメラを前に口を開いた。 「(新庄村は)自然とも人とも仲良くでき、生きる知恵を持つ。鍛え上げていったら、めっちゃ面白い場所になる」 この日告示された村長選に立候補した、農業の臼井崇来人(たかきーと)さん(52)。約4千平方メートルの農地で、キウイに似た特産品のサルナシを作っている。出生時に女性とされ、現在は男性として生きている。 岡山市で育ち、エコツーリズムを学ぶ米国留学やアルゼンチンでの宣教師活動を経て、2010年に新庄村へ移住した。 16年、岡山家裁津山支部に性別変更を申し立てた。だが法律には、性別変更のためには生殖能力を失わせる手術が必要だとの規定がある。臼井さんの申し立ては却下され、19年に最高裁でも退けられた。 最高裁は23年、別の申立人の審判で、この規定を「違憲」と判断した。臼井さんは再び家裁に申し立て、24年2月、性別変更が認められた。 新庄村では、パートナーの幸(みゆき)さん(49)と幸さんの長男(16)と3人で暮らしてきた。 性別変更が認められた翌月、幸さんとの婚姻届が受理された。願いがかない、法律上も「家族」になった。 選挙に立候補したのは、村への強い愛着からだ。 環境関連の仕事で初めて新庄村を訪れたのは、20代のころ。大自然に魅了された。 満天の星に「(星空観察用の)星座盤の中の星より多いじゃん、何だここはと思った」。アルゼンチンから帰国後、知り合った村民に「村を何とかしてほしい」と言われ、移住を決めた。 村の人情が好きだ。子どもを預かってくれたり、困ったときに駆けつけてくれたり。トラブルが起きたときに味方になってもらったこともある。 性別変更が認められず、婚姻届が受理されなくても、「村の人は(子どもの)小学校でも中学校でも、家族として扱ってくれた」。 移住した16年前に約1千人いた人口はいま、700人ほどに減った。 「(他人を)ほっとかない、一人きりで孤立させないのが新庄村の強みだと自分は思っている。そういうものが残る形をこれからも作っていきたい」。立候補への思いの一端をそう語っていた。 選挙戦で掲げたのは「一人ひ…この記事は有料記事です。残り712文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

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