インタビュー基地めぐる新しい「分断」の危うさ オール沖縄後の知事選の行方は?聞き手 編集委員・谷津憲郎印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする
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沖縄県知事選が近づいてきました。地方の首長選に過ぎない、と言うなかれ。台湾有事が喧伝(けんでん)されるいま、選挙の結果がもたらすものは、沖縄社会にとっても日本全体にとっても小さくない。沖縄国際大の野添文彬教授は、そう指摘します。オール沖縄勢力が衰退した島は、どこへ向かうのか。異なる言葉見つけねば 沖縄出身、30代研究者が知事選に抱く危機感のぞえ・ふみあき 1984年滋賀県生まれ。一橋大学大学院法学研究科博士課程修了。専門は国際政治学、日本外交史。著書に「沖縄県知事―その人生と思想」「大田昌秀」「沖縄米軍基地全史」など。 ――沖縄県知事は、1972年の復帰後、8人がつとめてきました。 「その仕事は、いまに至るまで、米軍基地と経済振興の二つが大きな柱です。保守側は、経済や生活を重視する。革新側は、平和や人権を重視する。およそ10年ごとに、ふりこのように入れ替わってきました」 ――その中で、オール沖縄を掲げた翁長雄志氏が2014年に登場します。保革をまたいで、辺野古移設への反対でまとまろうという新しい動きでした。 「背景にあったのは、日本政治の変化です。かつての自民党の橋本政権や小渕政権は、沖縄の歴史に理解があった。だから沖縄側も、基地問題で妥協ができました。しかし政権交代した民主党は基地政策を変えず、その後の自民・安倍政権は、強硬に辺野古移設を進めてくる。沖縄は対決するしかありませんでした」 「翁長氏にもおそらく誤算だったのは、安倍政権が強すぎたということです。また中国が台頭し、日中の対立が激化します。オール沖縄は分裂し、いまは辺野古移設反対を貫くか、政府に迎合するかで、沖縄社会は分断が深まっています」 ――かつてのような構図に戻ったのでしょうか? 「違うと思います。かつては保革対立といっても、双方に重なる部分があった。沖縄戦や復帰前の米軍統治下での体験です。しかし、そうした基盤を持たない政治家が出てきた」 「知事だった西銘順治氏は、沖縄の心はと問われて『ヤマトンチュー(本土の人)になりたくて、なりきれない心』と答えました。いま自民県連会長で息子の恒三郎氏は『おやじが語ったような微妙な心理は自分にはない』と言います」 「これまでの沖縄県知事は保守であれ革新であれ、沖縄を背負ったような人たちでした。戦争や差別といった個人の体験が、沖縄の戦後史と重なる。今回もそうした系譜が続くのか。国益と県民益がぶつかった時にどちらの側に立つのか。分岐点かもしれません」 ――そもそも沖縄県知事選は、なぜ大事なのでしょう。辺野古への移設が現実に進んでいる以上、選挙の意味は、かつてと異なるようにも思えます。 「自分の専門分野についてい…この記事は有料記事です。残り889文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません







