【社説】横浜市の山中市長にパワハラ認定 首長の資質、著しく欠く2026年8月8日 19時00分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアするこの社説のポイント●山中竹春横浜市長のパワハラが第三者の調査で認定され、人権意識の欠如を指摘された●市民の負託を受けて最大の政令指定市の運営を担う首長として、資質を著しく欠く●首長のハラスメントが認定される例が相次ぐ。首長の暴走を防ぐガバナンス強化の動きを広げたい

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横浜市の山中竹春市長のパワーハラスメントが第三者の調査で認定された。カジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致反対を掲げて2021年に当選後、「市民目線」の組織に市役所を変えると標榜(ひょうぼう)しながら、パワハラで組織を萎縮させ、市民に奉仕すべき行政の質を落としかねない事態を招いた責任は重大だ。 前人事部長の告発を機に始まった調査で、市長が当初否定した言動を含め、告発内容の大部分がパワハラにあたると認められた。調査報告書は「職員の尊厳を深く傷つけ、職場環境を悪化させる看過できない重大なパワハラ行為があった」と指摘した。 パワハラの最たるものと厳しく指弾されたのが、人事権を背景にした職員の支配だ。人事異動に関して「飛ばす」「粛清」などと口にし、合理性に疑問のある見せしめのような人事異動が常態化。多くの職員が恐怖を感じ、想定外の異動対象になって精神的な不調や体調不良、退職に至った例もある。パワハラ行為をする根底に人権意識の欠如があり、その自覚も欠けているとまで指摘された。人口376万人を抱える最大の政令指定市の運営を負託された首長として、著しく資質を欠くと言わざるをえない。 市長は特別職を対象にしたハラスメント防止条例を市議会に諮る意向を示す。自ら生み出した問題を繰り返さない組織を、自らの手で作り上げるというが、就任後の5年間で市長への職員の信頼は崩れている。職員と関係を結び直し、市民の信頼も回復するのは難しいのではないか。市長自ら人権意識を改め、職員を尊重する言動を徹底できなければ、信頼回復は遠のく。 真相究明に向け第三者の調査を求めてきた市議会には、質疑を通して市長の姿勢を厳しくただし、責任を明確にすることが求められる。告発や調査に協力をした職員に、市が不利益を及ぼすことは、断じてあってはならない。ハラスメントによる首長の辞職相次ぐ 福岡県宮若市や秋田県鹿角市をはじめ、第三者委員会や議会の百条委員会が調査して首長のハラスメントを認定する例が、近年相次いでいる。強い人事権を握る首長の暴走を食い止めるガバナンスの不全を露呈する場合が多く、横浜市も例外でない。 民意で選ばれた首長を牽制(けんせい)する仕組みを作るのは難しいが、取り組む意義は大きい。問題が起きてから対策をとるだけでなく、ハラスメントを未然に防ぎ、トップの暴走を生まないためにも、特別職を含めた禁止行為と処分のルールなどを定める条例を作る動きはもっと広がっていい。「ポンコツ」「クズ」横浜市長のパワハラ発言、尊厳傷つけたと認定「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません