【社説】消費税減税に突き進む自民党 責任政党と呼ぶことはできない2026年8月4日 19時30分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアするこの社説のポイント●食料品の消費税率を2年間、1%に下げる首相の方針を自民党が了承した●財源や経済への影響などの課題が置き去りだ。もはや責任政党と呼べない●公約でも課題が明らかになれば説明し、修正や撤回をする。国会議員の責務を果たしてほしい

[PR]

少子高齢化と人口減が進む日本で、社会保障を支える財源である消費税を初めて減税する政治判断は妥当か。極めて重要な政策の方向転換を了承した自民党は、国民生活や経済への影響をはじめ、慎重に考えるべき幾多の課題を置き去りにした。財源確保、将来世代への責任は? 財源確保の道筋も将来世代への責任も示さず、目先の人気取りを優先し、減税へ突き進む。もはや責任政党と呼ぶことはできない。 党は全議員が参加できる会合で、高市早苗首相が表明した食料品の消費税率を2年間、1%に引き下げる方針を了承した。首相は4日、税制改正大綱を9月にまとめ、必要な法案を秋の臨時国会に提出する意向を示した。 半年前、首相は衆院解散を表明した会見で減税を「私自身の悲願」と表現し、党公約に「実現に向けた検討の加速」を明記。街頭演説ではこの公約に一切触れなかったものの、圧勝した。首相は表明の理由に、この間の「国民の期待が高い」ことを挙げた。 党の会合は前回会合の反対意見を押し戻し、発言者のうち65人が賛成、9人が反対、中立的な意見が1人だったという。賛成の理由は「公約だから」が目立ち、「新人議員にとって公約は命」「首相が決めたことに従うべきだ」との意見が相次いだ。公約と国会議員の責務 公約は、政治への信頼と密接に関わる。だが、検討の過程で課題が明らかになれば正面から説明し、修正や撤回もいとわないことが国民から選ばれた議員の責務だ。 しかし、首相と自民党はこうした検討や説明から逃げている。首相の求めで開かれた超党派の社会保障国民会議では、減税をめぐる数々の課題を踏まえ、対象を絞った現金給付という代替案を野党が出したが、十分検討されなかった。国民会議も自民党も、低中所得者の負担軽減という目的に照らして最善という根拠は示しきれず、首相の意向を優先して議論を終えた。 党の会合では、災害に備えた財政余力確保の重要性への指摘や、「結果に責任を持てない」という声が一部からあがった。元法相の古川禎久(よしひさ)税調副会長は、歴代政権が痛みを伴う決断を重ねて社会保障の安定財源を築いてきたことは「自民党が引き受けてきた責任」とする意見書を提出。元首相や閣僚経験者も、立ち止まる重要性を語る。 減税の前提となる年5兆円の財源確保や、2年後の「増税」など棚上げした課題から逃げず未来まで視野を広げ、解決策を示せなければ再考する。自民党議員は忖度(そんたく)せず、責務を果たしてほしい。消費税1%引き下げの首相方針、自民税調が了承 推進派が巻き返し「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする