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熊本県で28日に起きた最大震度7の地震で、取材した避難所では住民が「雑魚寝」を強いられていた。震度7の揺れに2度見舞われた2016年の熊本地震で、物資の足りない避難所を敬遠する住民が多く、避難所の環境を見直すきっかけとなったが、発災から48時間が過ぎても10年前と同じ光景が広がる。猛暑、停電、断水… 命を守るために避難生活で気を付けたいポイント 30日午後、震度7を観測した宇城市の松橋東防災拠点センターでは500人以上が避難し、ホールの板張りの床に支給された毛布を敷いて座ったり、寝そべったりして住民が過ごしていた。 発災は28日午後4時27分。避難所で暮らす高齢の女性は「段ボールベッドのようなものがあれば横になれるのに」と顔をしかめた。T=清潔なトイレ、K=キッチン、B=段ボールのベッド トイレも悩みの種だ。避難所のトイレは断水で使えない。隣接する市の施設のトイレは使えるが、開館しているのは午前8時半~午後10時。それ以外の夜間の時間は、センターの敷地内にある屋外の公衆便所を使うしかない。早朝は公衆便所に女性が30~40人も並ぶこともあった。30日、企業から仮設トイレが提供された。 人口5万人余りの市では今年度、備蓄する段ボールベッドは40個。国のプッシュ型支援を待っているが、センターにいた市の担当職員は「段ボールベッドはまだない。いつ届くか分からない」と説明した。 「雑魚寝」の状況は他の被災自治体の避難所でもみられる。宇城市と同じく震度7を観測した氷川町は、保管する折りたたみの簡易ベッドは10個に満たない。配布される食べ物がパンやおにぎりだけという避難所や、エアコンが使えない場所もある。 八代市で約700人が身を寄せる「トヨオカ地建アリーナ」の避難所では、地震の後、トイレが貯水タンクの故障で使えなくなったが、隣接する市民プールの井戸水を活用することで復旧した。 地震当日は車中泊した同市錦町の女性(65)はトイレが使えると知って避難を始めた。「車中泊ではトイレに行けず、飲み食いをかなり我慢した」。「直接死」より多い「関連死」 避難所の環境改善は、災害が起きるたび課題になってきた。 地震で建物の下敷きになるなどして亡くなる「直接死」を免れても、その後の避難生活で体調を崩して命を落とす「関連死」が多いからだ。 内閣府などによると、2016年の熊本地震では、直接死が50人、関連死が約4倍の225人だった。24年の能登半島地震でも、直接死228人に対し、関連死は2倍超の520人で、いまも増え続けている。 関連死が増える背景に、避難所の劣悪な環境が指摘されてきた。 不衛生なトイレの利用回数を減らそうと、水分補給を控えて脱水症状になったり、配られる食事がおにぎりやパンといった炭水化物が中心で、栄養が偏りがちになったりすることだ。 そのため、プライバシーが確保されない避難所へは行かずに被災した自宅にとどまり、周囲の目が届きにくくなって体調を崩す人もいた。 また、狭い車中で長時間過ごし、足の血管に血栓ができる「エコノミークラス症候群」を発症するケースもある。 これらを踏まえ、国は避難所の運営マニュアルや車中泊をする被災者支援の手引きなどの改良を図ってきた。 国の災害対応の司令塔として今秋に発足する防災庁は、避難生活の抜本的な環境改善を柱の一つに据えている。 清潔なトイレ(T)、温かい食事を出せるキッチン(K)、段ボールのベッド(B)といった「TKB」の調達や備蓄の水準を全国で引き上げるとしている。 質の高い避難所運営で知られるイタリアなどを参考に、各地で訓練などをする一般社団法人「避難所・避難生活学会」は、災害発生から48時間以内に環境を整えることが重要だとして「TKB48」を提唱している。






