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特別国会が25日に閉会する。昨年10月の政権発足以来、高い支持率を保ってきた高市早苗首相だが、朝日新聞を含む各社の最新の世論調査では支持率の下落が伝えられる。政権運営の現状をどう見るか。政治学者で東京大教授の牧原出さんに聞いた。政治学者・牧原出さんインタビュー ――高市首相は20日夜のX(旧ツイッター)投稿で、首相就任後は「0時間~3時間睡眠が常態化」していると記し、論議を呼んでいます。 この話題を報じた朝日新聞の配信記事に、私は「コメントプラス」機能を使って、この投稿に象徴される高市首相の現状を「リアリティーショー」(リアリティー番組)だと見るべきだと指摘しました。【牧原さんがコメントした記事】高市首相「0~3時間睡眠が常態化」 Xに投稿、「明け方まで資料」 「自分は首相の器じゃないかもしれないけど、頑張ってその仕事をしている」という「自己設定」をアピールしているように見えます。リアリティーショーにたとえたわけ ――リアリティーショーというと代表的なのは、一般の男女が参加して恋愛をめぐる人間模様を楽しむバラエティー番組ですね。起業や無人島サバイバルなども人気で、売りは「台本なし」のドキュメンタリー性です。今の政治がそうした「ショー」化しているということでしょうか。 高市首相は自民党の有力政治家の一人ですが、永田町の権力の中枢にはいなかった「アウトサイダー」の政治家と見ていいでしょう。 芸能界でいうと、大手事務所に所属する人気ドラマの主役級や準主役の俳優ではない。極端に言えば、アマチュアに近い経歴をたどってきたと思います。その点は本人もよく分かっているはずです。たどたどしい演技でも好感されうるリアリティーショーの登場人物のほうがしっくりきます。 ――複数の大臣や自民党政調会長などの重要な役職を経験してきていても、アマチュア性を帯びていると。 永田町政治の本流は、いわば男性政治であり派閥政治、料亭政治という時代が長かった。高市首相は強い意志をもち、そうした場所にはあまり姿を見せずにやってきました。女性の政治家で、派閥の長でもなく、二世政治家でもない。総裁選では勝ち目が薄いと見られていたのに党員票で逆転し、党総裁・首相の座を得た。さらに衆院選で歴史的大勝を果たした。高市氏への幅広い期待感の根っこには、そうしたアマチュア性への共感があります。 高市首相が起用した片山さつき財務相も永田町のしきたりにハマらない異端の存在ですが、一定の力量を発揮しています。この高市・片山コンビを筆頭に、今の永田町では女性の政治家が存在感を増しています。永田町の風景は変わりつつあり、だからこそ高市政権の支持率は、下落傾向とはいえ5割前後と高い水準です。3割の保守の岩盤支持層に、今なお2割の上乗せがあるわけです。 ――睡眠時間をめぐる投稿には批判的な声が集まっていますが、そもそも女性初の首相として一定の存在意義があるというご指摘ですね。 政治の玄人のような振る舞いはできない。夜の会合はすぐに帰り、休日は公邸で過ごす。家事もこなし、深夜まで書類を読む。 こうした「頑張ってるわたしを見て」というアピールに批判が集まるのは、滞留メールは数千通、睡眠は0~3時間などと話を「盛っている」としか思えない要素が含まれるからです。 高市氏は、リーダーにふさわしい政治家だから党総裁・首相に選ばれたわけではない。永田町に新しい風を巻き起こしてほしいという期待を集めて支持されている政治家です。保守派の旗手として皇室典範改正や国旗損壊罪の法案成立に取り組んではいても、例えば靖国神社には参拝していない。多くの国民は、保守ゴリゴリの高市氏には期待していません。本人もよく分かっているのだと思います。記者会見で分かりやすく「読む」高市首相のプレゼン能力や、にこやかな表情など、若い頃にテレビで磨いた能力が生かされているわけです。 ――今回の投稿から読み取れる特徴は。 リアリティーショーの出演者たちは、華やかな起業家だとか、過去の手痛い失恋のせいで恋愛に臆病になっている、といった万人受けする分かりやすい「設定」と「キャラ化」を前面に押し出します。視聴者は出演者の誰かに感情移入しながら展開を見守る。高市首相も、少し「盛っている」としか思えないネタをあちこちにちりばめて、「家事に追われ」「大量の種類に赤を入れ」、頑張っているキャラの「設定」をアピールしているように見えます。一瞬、家でそうしているのかと思わされますが、よく考えれば本当かウソか分かりようはないわけで、そういうものだと受けとめながら高市首相をイメージする。少し無理がある設定でも、念入りに書けば人々はそう思うだろうと考えている節があります。記事後半では高市氏の「リアリティーショー」は「小泉劇場」や「トランプ政治」と、どう違うのか。国会閉会後の見通しは――。牧原さんと、高市政権と日本政治の今後あるべき姿を考えます。 ――政治の「ショー」というと、2000年代の「小泉劇場」を想起する人も多いと思います。 小泉純一郎首相(2001~…