2026年7月23日 19時15分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアするこの社説のポイント●高市首相のXでの発信は、リーダーは睡眠を極端に削るのもやむを得ないというメッセージになりかねない●発信内容が事実なら、危機管理上も問題だ。睡眠不足は注意力・判断力の低下、情動不安定につながる●投稿に閉じこもらず、国民や周囲の声に耳を傾けて欲しい

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高市早苗首相のX(旧ツイッター)での発信が物議を醸している。「久々に5時間も睡眠を取れた」「就任以来、0時間~3時間睡眠が常態化」などと20日に投稿した。 自民党総裁になった直後も「ワーク・ライフ・バランスという言葉を捨てます」と発言。育児や介護と仕事の両立や長時間労働を強いられている働き手や家族に対して無配慮な言葉だと非難された。しかし、その後も睡眠時間の短さを口にしていた。 今回の投稿はこの延長線上にあり、多くの批判を意に介さないように映る。リーダーは仕事のため睡眠を極端に削るのもやむを得ないというメッセージになりかねず、内容の真偽に関わらず問題だ。 首相は就任直後から労働時間規制の緩和に意欲を示し、働き方改革の流れとの整合性に疑問が広がる。自ら長時間労働をいとわない姿勢をアピールするなら、今後の議論への悪影響も懸念される。 投稿は家事にも及ぶ。平日帰宅後は洗濯や洗い物や掃除に追われ、貴重な休日に大量のアイロンかけと繕いものをした、といった内容だ。 首相が自分と同じような家事をしていることに、共感する人もいるかもしれない。一方、これほど休めないなら政治家はとてもできないと感じる若い世代もいるだろう。 首相に求めたいのは、「仕事のために身を削りながら家事までがんばる」という規範をふりまくことではなく、人々が過労に陥らずにすむ政治を営むことだ。高市政権は、ベビーシッターや家事支援サービスの利用を促進すると打ち出している。必要な時には家事やケア労働を人に頼っていいという価値観と、矛盾のない発信を望みたい。いさめる側近いないのか 発信の動機は定かでないが、内容が事実とすれば、危機管理上も問題がある。 睡眠不足は注意力・判断力の低下、情動不安定につながる。そんな中で仕事が処理能力を超えているというのなら、国民を不安にさせる。自衛隊トップでもある首相が心身の疲弊を想起させる情報を広めれば、場合によっては安全保障に無用な危機を招くと懸念する向きもあろう。 木原稔官房長官は記者会見で投稿について問われ、個人アカウントによる投稿なのでコメントは差し控える、とした。しかし、政府全体としての統制が問われる事態だ。トップの不適切な投稿をいさめる側近はいないのだろうか。 投稿からは首相の孤独がにじみ出る。一方通行の投稿に閉じこもり独善を深めぬよう、幅広く国民や周囲の声に耳を傾けて欲しい。高市首相「0~3時間睡眠」 「激務アピールは時代遅れ」や心配の声「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする