現場から避難目安以下なのに土砂崩れで犠牲が 現場が感じた気象情報の限界森川愛彦 根津弥印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする
[PR]
災害時に避難などの判断をしやすくするため、気象庁が5月末に「新しい防災気象情報」の運用を始めてから、約2カ月が経った。この間、台風の接近などで多くの情報が発表されてきたが、目的は果たせているのか。実例からは、注意点も浮かび上がってきた。 山口県平生町では6月26日夜、気象庁の情報が避難を始める段階に達していなかったのに、局地的な災害が起きた。 台風7号の接近と梅雨前線の影響で全国的に長雨となる中、土砂崩れが発生。2階建て住宅が土砂に巻き込まれ、住人の男性(74)が死亡した。山口で土砂崩れ、住宅が倒壊し1人死亡3人けが 福岡では地面が陥没 土砂崩れの規模は、高さ約100メートル、幅約400メートル。現場は田園地帯に接する傾斜地で、土砂災害特別警戒区域に指定されていた。 土砂崩れが起きた林道沿いの最上部は、町の残土処分地で、一部が一緒に崩壊していた。ただ、盛り土は2000年より前のもので、現在は森林化しており、県は適切に管理されていたとしている。近隣住民は朝日新聞の取材に「裏山には耕作放棄地の田んぼがあった」とも証言した。「限界を感じた」 新しい防災気象情報では、大雨、河川氾濫(はんらん)、土砂災害、高潮の危険度がレベル1~5の数字で示される。だが、町に対する当時の情報は「レベル2大雨注意報」と「レベル2土砂災害注意報」にとどまっていた。町によると、26日は小雨が断続的に降った程度だったという。新しい警報・注意報のポイント解説 数字の意味は?何が出たら避難? 町に近い柳井市の観測所では、26日午後7時までの降雨量が1時間で0.5ミリ、3時間で6ミリ、6時間で16ミリ。レベル3や4の基準を満たしていなかった。ただ、雨自体は2日ほど前から断続的に降っていたという。 町は25日夜から町内2カ所に自主避難所を開設していたが、雨の降り方がレベル3の基準にも達しなかったことから、土砂崩れが起きる前の26日午後5時に閉鎖していた。 町内の被害は、この1カ所だけ。町の担当者は「情報だけではカバーしきれない災害リスクがあったことに、予測の限界を感じた」と話す。 新しい防災気象情報では、5月の改正前よりも土砂災害の「警報」の基準が引き上げられ、レベル3が出にくくなった。だが、気象庁によると、今回は旧情報の基準に照らしても、土砂崩れの発生時刻までに、いったん出た警報が解除されていた可能性が高いという。 山口県は土砂崩れの原因を調べており、国土交通省も7月10日に現地を調査した。野村竜一・気象庁長官は7月15日の定例会見で、「情報の発表としては問題なかったと今の段階で考えているが、土砂災害のリスクは様々な要因が関係している。現地の調査を待ちたい」とした。氾濫しても発表されなかった気象庁のレベル5 熊本県小国町では7月2日早朝、線状降水帯による大雨で、筑後川の杖立橋付近が一時氾濫した。「川の防災情報」を出す国交省は、小国町と、隣接する大分県日田市に、川の水位に基づいて「氾濫発生」の情報を発表した。川の防災情報では最も危険度が高いレベル5の情報だ。 しかしこの時、気象庁は「氾…この記事は有料記事です。残り1032文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんこの記事を書いた人根津弥東京社会部|気象庁担当専門・関心分野司法、刑事政策、人口減、災害復興、防災関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする






