【社説】英国の新首相 甘い言葉より、実行と説明で政治不信の解消を2026年7月23日 19時01分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアするこの社説のポイント●バーナム氏が英国首相に就任。地方分権を看板に「40年で最大の変革」を掲げる●安易な人気取りで政治不信は克服できない。丁寧な説明で信頼を築いてほしい●生活苦対策と財政規律、防衛費増額をどう両立させるか。国際秩序の支え手としても期待
[PR]
演台に立たず、原稿も読み上げない。首相就任後の演説で庶民派を印象づけ、「国民は政治にうんざりしている」と率直に認めた。だが、聞き心地の良い言葉だけで政治不信はぬぐえない。政策と丁寧な説明が伴わなければ期待は失望へ変わるだろう。 英国の新首相に労働党のアンディ・バーナム氏が就任した。欧州連合(EU)離脱を決めた2016年以降、7人目の首相だ。スターマー前政権はポピュリズムと距離を置いたものの、生活改善への期待に応えられず、説明不足も重なって信頼を失った。 総選挙を経ずに首相に就いたバーナム氏の政策や力量は未知数だ。議会での論戦と政策実行を通じて信頼を築けるか。既成政党への不信を追い風に右派ポピュリズム政党が勢いを増す中、その成否は英国政治の行方を左右する。 「過去40年で最大の変革を進める」とも語った。サッチャー政権以来の経済運営を転換する決意だろう。 権力が中央に集まり、公共サービスの民営化が進み、産業を失った地方が取り残された――。そうした問題意識から生活基盤への公共の関与を強め、政府調達を産業再生に生かす考えを示した。市場の力を生かしつつ公共の役割を立て直す方向は理解するが、何を変え、どう財源を確保するのか早期に示すべきだ。 看板政策の地方分権では首相官邸機能の一部を地方に移し、住宅建設や産業再生を地域主導で進めるという。地方都市の市長として交通や住宅政策を担った経験が土台にある。投資と雇用を生み、地域格差を是正する構想を全国へ広げられるかが課題だ。 難題は、生活苦の軽減と防衛費増額を財政規律とどう両立させるかだ。限られた財源を何に振り向け、国民にいかなる負担を求めるのか。優先順位を明確に示さねばならない。財源の裏付けを欠いた減税策で市場の信認を失ったトラス元政権の轍(てつ)を踏まず、同じ課題を抱える先進国に一つの解を示してほしい。 外交では、国内問題に軸足を置いてきたバーナム氏の力量が試される。米国との「特別な関係」は外交・安全保障の基軸だが、国際機関や同盟を軽視し、力を優先するトランプ政権に追随するだけではならない。必要な時には米国にも異論を唱え、EUとの協力を深めながら、法の支配と国際協調を支えてほしい。 日本にとって英国は欧州とインド太平洋を結ぶ戦略的パートナーだ。次期戦闘機の共同開発など防衛協力にとどまらず、自由で開かれた国際秩序の安定へ連携を広げたい。英国新首相にバーナム氏、国政復帰1カ月で 政権運営は未知数な点も「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする
















