2026年7月22日 19時00分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアするこの社説のポイント●3カ国で共催したW杯は、その拡大主義の課題が浮き彫りになった●入場券の高騰、健康管理そっちのけの試合演出など、過剰な商業主義は目に余る●大会の意義を傷つけた政治家の振る舞いと、その回復への取り組みが今後問われる
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サッカーのW杯北中米大会が幕を閉じた。初めて3カ国で共催し、参加チームも試合数も一気に拡大した大会は、集客や収入も大きく伸ばしたが、同時に様々な問題を浮き彫りにした。 印象に残るのは、そのむき出しの商業主義だった。入場券は主催の国際サッカー連盟(FIFA)が需給に応じて価格が変動する方式を導入し、公式サイトで上限なしの自由取引も認めたことで高騰した。決勝は安いものでも100万円を超えたという。 その決勝では初めてハーフタイムショーが導入され、規定の15分の倍近い時間が費やされた。米国流の派手な演出を喜ぶ声もあったが、CM枠にもなる飲水タイム導入と合わせて放映権料アップと密接につながる要素であり、選手の健康管理といった本来の趣旨とは離れてルールや仕組みが利用された面は否めない。 さらに気になるのは選手の消耗度だ。トレーニングは進化し、体を守る方法も改善されているが、それ以上にトップスピードで走る距離や当たりの強さといった試合の強度が上がっている。試合数が増え、短期間に詰め込まれたことで、決勝トーナメントはほぼ中3日、時には中2日という過密日程となり、選手の疲労や負傷が心配だった。 観客と選手という、スタジアムの芝生とスタンドでW杯を支える主役が軽んじられた点は見逃せない。 参加チームを見渡せば、4チームが初出場を果たし、なかでも西アフリカの島国カボベルデは決勝トーナメント進出を果たした。28年ぶりに出場して8強入りしたノルウェーなどと合わせ、小国の躍進ぶりはW杯ならではの面白さだった。その一方で、16強にアジア・オセアニアは残れず、8強に南米は一つしか残れなかった。大陸間の格差も映し出された形だ。 FIFAのインファンティノ会長は、今回の48チームから次回はさらに64へと参加枠拡大の検討を明言したが、今大会を詳細に検証することが先だ。大会をゆがめたリーダーたちの振る舞い 大会の姿をゆがめた政治との距離も改めて指摘したい。決勝後、表彰式に現れた会長と開催地のトランプ大統領は激しいブーイングを浴びた。 米国は大会期間中もイランへの攻撃を続ける中、イラン選手団には著しく不平等な待遇を強いた。その一方で自国選手の処分には介入を疑わせる行動もあった。W杯の意義を深く傷つけた行為への抗議表明をかみしめて欲しい。 今後4年間は大会の健全さと信頼を取り戻すため、FIFAの自浄能力が試される。政治がゆがめたサッカーW杯 「一線越えた」問われるFIFAの姿勢「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません






