【社説】成田空港の用地取得で収用手続きへ 交渉での取得に全力を2026年7月22日 19時01分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアするこの社説のポイント●成田空港の拡張に必要な用地取得が難航するなか、空港運営会社が強制収用の手続きを進める方向となった●開港前に激しい反対運動が起きたが、いまは元反対派にも収用に理解を示す声がある●だが強制収用はあくまでも例外的な手段。交渉による取得に全力を
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成田空港の拡張計画に必要な用地取得が難航するなか、成田国際空港会社(NAA)が、土地収用法に基づき土地を強制的に買い取る「強制収用」の手続きを進める方向となった。 空港拡張に理解が得られない、遺産分割協議の難航で交渉が進まないなどの事情があるという。千葉県と空港周辺9市町も同意した。 今回の動きを機に交渉に応じる地権者が出て、実際に強制収用に至る例は限られる可能性もある。 とはいえ、収用はあくまでも例外的な手段だ。交渉による取得に全力を尽くさなければならない。「第2の開港」とは 成田では「第2の開港」と呼ばれる大規模拡張が進む。航空需要の増大を見込んで首都圏の空港機能強化を不可欠とする立場に基づくものだ。羽田は拡張の余地が限られているとして、成田の2本の滑走路のうち1本を1千メートル延伸して3500メートルとし、3本目となる3500メートルの滑走路を新設。年間発着枠を34万回から50万回に増やす方針だ。 2029年3月に供用開始予定だったが、用地取得の難航で延期の見通しだ。事業費は、19年度時点の5125億円が24年度には6707億円へと3割増え、物価高でさらに膨らむ可能性もある。封印されていた強制収用 強制収用が浮上した背景には早期に供用したい思惑もあろう。だが、自治体も同意したのは、時の流れに伴う地域事情の変化も影響している。 成田は開港前に激しい反対運動が起きた。機動隊を動員した強制収用が行われ、死者も出る衝突の末、計画では滑走路3本だったが1本だけで1978年に開港。国は90年代に強制収用を封印し、以降、空港整備は地元との話し合いで進められてきた。かつての反対派からも理解示す声 いまの拡張計画は地元自治体が後押しする。最近は元反対派からも強制収用に理解を示す声が上がり、今回のNAAの方針は開港前の強引な進め方と同一視はできない。 一方で、反対の声がかつてのような大きなうねりになっていないからこそ、その声に耳を澄ますことが大切だ。 今後の手続きでは、NAAからの申請に基づき国土交通相が事業認定するか決める。その判断にあたっては、土地を収用する公益上の必要性の有無などを審査する。認定されれば、補償額や明け渡し期限を決める手続きに入る。 ただ、そもそも国は空港拡張の推進側であり、収用の必要などの審査は形骸化のリスクをはらむ。国には、地権者はもちろん第三者の識者らの意見も丁寧に聞き、その疑念を払う努力が求められる。強制収用、地元も同意 成田空港の新滑走路、NAAが申請手続きへ「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません






