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ポッドキャストに可能性を感じ、5番組に出演して発信している連続起業家の「けんすう」さんこと古川健介さん。出演者の発言を「原液」と表現し、AIによって記事化したり、画像を挿入してわかりやすくしたりするサービスも開発しています。背景には、どのような思いがあるのでしょうか。けんすうさんが考える「続・ポッドキャストの魅力」・あらゆるメディアに変換できるコンテンツの「原液」・0.1秒で離脱される「邪悪なSNS」の構造に縛られない・一粒で何度もおいしい「IP(知的財産)」になる<テキスト、動画、音声……SNSを中心に誰もが手軽に発信者になれる時代。もしかしたら、「編集者」の視点は一般的に必要なスキルになっているのかもしれません。いまメディアや個人で発信する人たちは、何を意識しながらコンテンツを作っているのでしょうか。withnews by 朝日新聞ではかつて、連載「WEB編集者の教科書」を配信し、書籍化しました。あれから6年、新たに「シン・WEB編集の教科書」と題して、いま知りたい「編集者」のノウハウや取り組みを紹介します。メディアの立ち位置が大きく変わった今、デジタル発信の編集に必要な視点を探ります。>SNSは「邪悪な部分が強い」アル株式会社の代表取締役で連続起業家のけんすうさんは、ポッドキャストでの発信の比重を高めています。その背景にあるのは、SNSへの不信感です。「SNSは邪悪な部分がすごく強くて、特にテキストだと炎上しやすい。短尺動画は1秒以内に視聴者の興味を引いて15秒で終わらせるものなので、どうしても刺激の強い側にいってしまって、かなりとがった意見にしないといけません。情報の質としてはアテンション(注目)に偏ったものになります」たくさん閲覧された政党のショート動画を分析したというけんすうさんは、エンタメなどテーマによっては動画が向いているとした上で、「政治の話題を15秒でやろうとすると、うまい人の意見ばかりが通る」という懸念があるといいます。「某政党のショート動画を研究したんですけど、やっぱりすごくうまいんですよ。ちゃんと文脈を説明しようとすると5時間かかる……という内容が全然流通しなくなるのは問題だなと思います」と指摘します。「よく言われるのが、『親指の1ミリぐらいの動きで次のコンテンツにいけるのがよくない』ということ。例えば図書館だったら、多分読んでいる本を閉じて新しい本を取りに行くのは大変です。もう少し我慢して読もうかなとなりますが、スマートフォンでSNSを見ていると0.1秒で次のコンテンツにいけてしまいます」ポッドキャストはコンテンツの「原液」けんすうさんは、「言葉だけで説明しなければいけない」ポッドキャストの魅力は、「コンテンツの『原液』になること」と表現します。「音声データがあれば、それをテキストにしたり、テキストをAIに読み込ませてその先をAIと議論したりできるんです」音声コンテンツがあることで、「聴く」以外のコンテンツの可能性が広がる――。そんなふうに考えています。けんすうさんが代表を務めるアルでは、ポッドキャストの音声からAIで記事や要約、画像を作るサービス「Pody(ポディ)」を開発しました。現在はベータ版だといいます。Podyは、ポッドキャスターが登録した番組を文字起こしした上で、読者が読みやすい記事を作成します。番組を一度聴いただけでは理解できない内容も、記事や画像を目にすることで学びを深くすることが狙いです。ショート動画やスライドなど多方面のコンテンツに展開していくこともできるそうで、まさにポッドキャストを「原液」に、マルチ展開していくサービスです。けんすうさんは「テキストに慣れている方は記事を読んで、ショート動画に慣れている方はショート動画に流れてくる切り抜き動画や要約を見て、Instagramではポッドキャストで話したことが画像で見られる。そのように『加工』することによってポッドキャストへの入り口を広げていくのがいいんじゃないかなと思っています」と話します。「邪悪」なSNSも伝えるために使う情報を発信するプラットフォームとしてのSNSは「邪悪」だと感じているけんすうさんですが、ポッドキャスト番組の認知を上げるためには「めちゃくちゃ使ったほうがいい」と話します。「ポッドキャストは一度でも聴けば長く聴いてもらえるのですが、聴くまで面白さがわからないし、5分だけ聴いてもわからない。敷居がめっちゃ高いんです。そこを下げるのが重要かなと」ポッドキャストの動画をSNS用に切り抜いて「アテンション」を集める動画になってしまったとしても、「それは仕方ないと思ってやったほうがいい」といいます。「我々の番組もショート動画で出していますが、1カ月の再生数が100万回を超えるなど、リーチとしては全然桁が違うんですよね。そのうち1%でも元のポッドキャストに来てくれれば、1万人のリスナーが増えるので、リスナーの質としてはとても高くなります」実際、SNS用の動画を作るときにはけんすうさんは関わらず、ショート動画のプロに任せるそうです。そうすることで、ポッドキャスト本編で伝えていることと切り抜き動画での印象のズレを割り切っているといいます。「『ここだったらバズる』というのは切り抜く人のセンスでやったほうがいいですね。ただ、元のコンテンツがあることが重要です。特にAI時代においては、『切り取られた部分は5時間しゃべったうちの15秒だよ』とか、『5時間の内容ではこう話している』というのを追える状態であることが、文脈も背景も伝わるので大切だと思います」五つのユニークな番組そんなけんすうさんは現在、「深井・けんすうのまぼろし会議」「けんすうスピーク」「箕輪・けんすうのご神託ラジオ」「限界突破ライフハック」「マダナイ」の五つの番組に出演しています。番組それぞれ色合いが異なりますが、毎朝3時45分に起きる投資家の田中渓さんと語り合う「限界突破ライフハック」は、「考え方のプロセスを学べる番組」を意識しているといいます。毎週火曜~金曜の朝8時にライブ配信している「けんすうスピーク」は、リスナーからのおたよりに答えていくスタイルです。幻冬舎の編集者・箕輪厚介さんと出演する「箕輪・けんすうのご神託ラジオ」は、「深いファンが集まる」ことを目的にしているといいます。「この番組は10年やろうという話をしていますが、3年ぐらい聴いていないとわからないとか、AIに質問しても全然情報が出てこないくらい、ここにしかないコンテンツができると思っています」AIをフル活用するけんすうさんですが、「AIによってコンテンツがどんどんコモディティー化(一般化)していく」とも考えているそうです。「そんな中では、標準化されたものには価値がなくなっていくはず。だから番組内容に偏りがあるほうがいいよねという発想です」と語ります。ポッドキャストをIP化するさまざまなポッドキャストに出演したり、ほかのポッドキャストをサポートしたりしているけんすうさんは、「IP(知的財産)として活用」することにも挑戦しています。Podyではポッドキャスターが話した内容をまとめて書籍化するといったサポートもしていて、グッズ展開の可能性も探っています。「本質的には、ポッドキャストの番組がテキストデータになって、そこにAIで瞬時にアクセス、加工できることが必要だと思うんですよね。今は『このポッドキャスト100話分を本にしたらどうなるだろう』というのを、書籍用のAIの仕組みを作ってやっています。読んでみて、『これ書籍じゃないな』とか、『これめっちゃ面白いな』みたいなものがあったら修正していくことができるので、そういう展開を目指しています」AIで作られた本と聞くと抵抗感を持つ人もいるかもしれませんが、もとになっているのはポッドキャストで話された内容。書籍化するのは、ポッドキャスターの思考の記録になると考えているそうです。「著者の思考を追いたい人は、そのポッドキャストを聴ける。何度も何度も、一度作ったコンテンツをしゃぶり尽くすというか、活用することで、無駄なくより影響力を出せると思います」ニュースが身近になるメディア「withnews」https://www.asahi.com/withnewsTikTokアカウント:https://www.tiktok.com/@withnewsYouTubeアカウント:https://www.youtube.com/@withnewschannel






