世界遺産間近の「飛鳥・藤原」 イコモス「登録勧告」に記された指摘筒井次郎印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする

[PR]

ユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界遺産委員会が、7月19~29日に韓国・釜山で開かれる。世界遺産登録をめざす「飛鳥・藤原の宮都」(奈良県)は、6月にユネスコの諮問機関イコモスから「登録」の勧告を受けたことから、正式に登録される見通しだ。ただ、その勧告にはいくつか指摘があった。その内容は――。<飛鳥・藤原の宮都> 6世紀末~8世紀初めに都が置かれた古代国家の遺跡群。奈良県明日香村を中心に、橿原市、桜井市にも点在する。宮殿・官衙(かんが、役所)跡(飛鳥宮跡、藤原宮跡など)▽仏教寺院跡(飛鳥寺跡など)▽墳墓(石舞台古墳、高松塚古墳など)の3分野、計19件の資産からなる。高松塚・キトラ、壁画は古墳の外だが 遺跡ばかり、19の構成資産の中で数少ない「色彩」が、国内で2例しか確認されていない国宝の極彩色壁画だ。 いずれも明日香村にある特別史跡の高松塚古墳とキトラ古墳の石室内に描かれていた。しかし、両壁画とも、いまは古墳の外にある。 「飛鳥美人」で知られる高松塚の壁画は、大量に発生したカビを除去するため石室が解体され、修理施設に運ばれた。飛鳥・藤原が暫定リストに載った2007年1月の数カ月後のことだった。 朱雀(すざく)などの四神が描かれたキトラ壁画もカビやひび割れなど壁面の状態が悪く、04~10年にはぎ取られた。両壁画とも現在は修理を終え、近くの施設内で保管・点検されている。 ただ、世界遺産の対象は建物や土地といった不動産に限られる。日本側は「将来は古墳内に戻す」という方針を示しているが、現状では「動産」と受け取られかねず、壁画に何らかの指摘がある可能性もあった。 これに対し、勧告は「壁画を移動させる安全な手法について調査研究も行うべきだ」とした。東京文化財研究所や奈良文化財研究所が将来元に戻すための科学的研究をしており、勧告も研究の継続を求める指摘にとどまった。 県世界遺産室の森井順之(まさゆき)室長は「壁画は古墳の一部であり、世界遺産の価値に含まれると認められた」と話した。藤原宮跡、当初狭かった史跡範囲 世界遺産は、登録の前提として国内法による保護が求められ、日本は文化財保護法による文化財指定を基本としてきた。遺跡の場合は、史跡指定で開発から守れるが、一方で所有者との粘り強い交渉も必要となる。 今回難題だったのが、構成資産の中で最大の面積を占める特別史跡・藤原宮跡(橿原市)。勧告は「可能な限り早期に全域が史跡指定されることを勧める」と指摘した。 藤原宮跡は、元々は約1キロ四方だったと考えられるが、県によると、07年段階の史跡の範囲は、全体の6割にも満たなかったという。イコモスの指摘は、さらに続きます。推薦の直前に構成資産から外された「大和三山」についても言及しています。 世界遺産の国内推薦を決める…この記事は有料記事です。残り804文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません