【東京】5月、北海道の函館沖で定置網を仕掛けていた日本の漁師、中村忠介さんは、クロマグロの漁獲量が異常に多いことに気づいた。高級寿司ネタとして珍重されるクロマグロが何百匹も網に詰め込まれていたが、彼はその多くを放流せざるを得なかった。日本には年間漁獲枠が設けられており、もし中村氏がこの漁獲物をすべて保持していたら、クロマグロがより脂がのって美味しく、高値で取引される寒い季節に向けた漁獲枠がなくなってしまうことになっていた。「網の中にいる魚を放さなければならないのは、本当に悔しい」と、海岸近くに大型の定置網を仕掛ける漁法を用いる中村氏は語った。 日本の漁師たちは今年、かつて絶滅危惧種だったクロマグロの数が周辺海域で異常に急増していると報告しており、専門家は、その一因として気候変動に伴う回遊パターンの変化が挙げられる可能性があると指摘している。この現象は、気候変動が海洋生物にどのような変化をもたらしているかを示すもう一つの例であり、長年にわたり海に生計を依存してきた人々にとって深刻な影響を及ぼしている。中村氏の故郷である函館では、かつては至る所で見られたイカの個体数が激減しており、漁業はすでにその影響に苦しんでいる。漁獲枠が漁獲量を制限中村氏と同様に、多くの漁師はシーズン序盤にこの魚種が豊富に獲れる状況を活用できていない。2015年から導入されている国際的な漁獲枠制度により、日本は今年、西太平洋および中部太平洋の海域において、体重30kg(66ポンド)以上のクロマグロを8,421メートルトンまでしか漁獲することができない。 この水域はニュージーランドの南まで広がり、世界の海面の約5分の1をカバーしている。日本の割当量は、2024年から今年および昨年にわたり50%引き上げられたものの、クロマグロの個体数が急増した規模があまりにも大きいため、多くの日本の漁師は2026年の割当量に近づきつつある。 また、定置網漁師たちは、クロマグロを放流すると、本来狙っていた漁獲物の多くも失い、売上に響いていることに気づいている。水産庁のデータによると、4月の日本沿岸における大型クロマグロの漁獲量は、前年比でほぼ2倍に増加した。日本、大型クロマグロの漁獲枠拡大を提案この問題に対処するため、日本は漁獲枠の改定を提案しており、過激でも保守的でもない「中道的な」自動算定方式を採用し、来年、西・中部太平洋地域における大型クロマグロの漁獲枠を25%引き上げる方針だ。 同時に、繁殖個体群を保護するため、体重30kg未満のクロマグロの漁獲枠を6%削減する方針だと、日本の水産庁は述べた。同地域の回遊魚資源の管理を担当する「西・中部太平洋漁業委員会(WCPFC)」の作業部会は、水曜日から日本南部の長崎で会合を開始する。今後2年間の漁獲枠は、12月にバヌアツで開催される同委員会の定例会合で最終決定される予定だ。近畿大学世界経済研究所の有地雅彦教授は、長年にわたる保全努力に言及し、「クロマグロの漁獲量が増加した理由の一つは、資源管理が成功したためだ」と述べた。 また、国際的な非営利団体「海洋管理協議会(MSC)」が11月に発表した報告書によると、海水温の変化により、クロマグロを含む回遊魚の回遊ルートも変化しているという。WCPFCによると、割当制度により乱獲は解消され、繁殖個体群を反映する産卵生物量は、2010年の1万2000トンから2022年には14万4000トンへと回復した。 「もし割当量が多ければ、大漁が期待できたはずだ」と、福井県西部の漁師、浦谷俊治氏は述べ、大型マグロの半期割当量を最初の3ヶ月で既に達成してしまったと付け加えた。「現状では魚を放さざるを得ず、労力が無駄になっている。マグロが邪魔になっているんだ」ロイター