2026年7月7日 19時00分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアするこの社説のポイント●W杯の自国代表の退場処分に「介入」した米国のトランプ大統領が批判を浴びている●政治家の独善は開催地とW杯の公平性を深く傷つける●スポーツを政治の思惑によってもてあそぶ愚を犯してはならない
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スポーツの意義や価値を理解しようとしない、愚かな振る舞いと呼ぶべきだろう。 サッカーのワールドカップ(W杯)北中米大会決勝トーナメント1回戦で、米国選手が相手選手の足首を踏み、退場処分を受けた。問題は、この処分について開催地のトランプ米大統領が国際サッカー連盟(FIFA)のインファンティノ会長に電話をかけ、再考を働きかけたことだ。 続く2回戦、米国選手はルールにより自動的に出場停止のはずだったが、FIFAは処分を猶予し出場を認めた。ただ理由を明確には説明していない。政治家が審判の判定やルールに介入し、覆すようなことはあってはならない。 両者は電話を認め、トランプ氏は「再審査を求めた」と釈明。インファンティノ会長は「(裁定を覆した)規律委員会は独立組織」とコメントし、関与を否定したが、これをうのみにする人はいないだろう。怒りとともに、熱戦に冷や水を浴びせられたような気分になる。 米国は2回戦で敗れた。大統領の介入は選手も迷惑だったのではないか。開催地とW杯の公平性を深く傷つけた行為の経緯を、FIFAは速やかに説明する必要がある。 昨年、唐突にできた「FIFA平和賞」がトランプ氏に授与され物議を醸した。欧州議会のメンバーは経緯の調査をFIFAに求めている。 他国に目を向ければ、韓国でも政治家による発言が波紋を呼んでいる。代表チームは洪明甫(ホンミョンボ)監督のもとグループリーグで敗れたが、李在明(イジェミョン)大統領が「無能な人を指揮官に選べば、結果は火を見るより明らかです」とSNSで糾弾した。誹謗(ひぼう)中傷をあおりかねない言動は、国の指導者として疑問を抱かざるをえない。 今回のW杯では、米国政府はイラン代表チームのスタッフに入国を禁じ、選手の滞在も厳しく制限した。審判や、中東やアフリカの国のファンなどの入国にも制限を加え、混乱させた。参加者や観戦者には十全の配慮を図る国際大会では異例の姿だ。2年後にはロス五輪もある。トランプ氏のルールをねじまげることもいとわない自国中心主義は、ホスト国とスポーツのあり様に不安を抱かせる。 日本も他人事ではない。9月には愛知でアジア大会を開く。参加予定の45カ国・地域には、北朝鮮のように難しい関係の国もあるが、ホスト国としてすべての国の選手が公正に、力を出し切れる環境を整え守ることが大切だ。 スポーツを政治の思惑によってもてあそぶような独善があってはならない。米選手処分猶予でFIFA声明 トランプ氏が要請認める 試合は敗退「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする
















