深掘り富士山に潜むリスクは 高山病や低体温症、油断できない日本一の高峰編集委員・東山正宜 金子元希印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする
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「一生に一度は登りたい」「ご来光を山頂から拝みたい」――。日本最高峰の富士山は、登山者たちの熱い思いを受けてきました。しかし、標高3776メートルは決して簡単ではありません。2023~25年の3年間で、のべ363人が高山病などで搬送され、うち21人が亡くなっています。危険はどこに潜んでいて、どんな準備が必要なのでしょうか。世界遺産ブーム、登山道は大渋滞 近年、富士山には毎年20万人ほどが登っている。ブームのきっかけは07年、世界文化遺産の暫定リスト入りだった。翌08年には30万人超に。山頂手前の登山道は大渋滞し、山小屋関係者は「いつか大事故が起きると恐怖を感じた」という。 そして13年の世界遺産登録。関係者の危機感を受け、自家用車の乗り入れを禁じる規制の延長など、混雑への対策が強化された。 新型コロナの感染拡大があった20年は山小屋が営業を控えたが、外国人客の急増もあって23年には20万人を回復。その後、一部の登山客のテント泊やたき火といったマナー違反や、徹夜で登る弾丸登山が問題になり、山に入れる時間の制限や入山料4千円の徴収などが導入された。3年間の363人の遭難データを分析 その後、富士山ではどんな変化があったのか。どこで、どんな遭難事故が起きているのか。 朝日新聞は、山梨県と静岡県警がまとめた25年までの3年間、のべ363人の遭難者のデータを入手し、分析した。 男女比は64:36で、平均年齢は45.0歳。最年少は「親と登山中に七合目付近で胸の痛みを訴えた」という5歳男児で、最高齢は「九合目付近で動けなくなっているところを発見された」90歳男性だった。体力のない子どもと高齢者を含め、幅広い年代の人が登っていることがわかる。 外国人の割合は34.8%だった。山梨県が25年、吉田ルートの登山者に聞いたアンケートに英語で回答した人の割合は32.0%で、これを外国人登山者の割合とみなせば、遭難に至った割合は日本人と外国人で大きな差はなかった。遭難者が多かった国籍は、アメリカ、中国、台湾、フランスの順だった。 下り道の遭難が54.8%を占め、登り道の30.6%の倍近かった(残りは山頂付近と「不明」)。下り道は転倒と負傷が53.3%で、登り道では高山病を含む体調不良が55.0%と目立った。 死者は7割が50代以上だが、若くても重大な結果になるケースがあった。たとえば38歳の男性は「八合目付近で意識を失った。搬送先の病院で死亡が確認された」と報告されている。【特集】富士山事故 3Dマップ増加する体調不良者 富士山には、登山道が山梨側に1本(吉田ルート)、静岡側に3本(富士宮、御殿場、須走ルート)の計4本ある。一番人気は吉田ルート。登り口から山頂までの標高差が小さく、東京・新宿などからの直通バスがあることもあり、登山者の6割ほどが集まる。次いで富士宮ルートが3割ほどを占める。御殿場と須走は玄人好みだ。 ルート別に遭難者の割合をみ…この記事は有料記事です。残り1895文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません






