【社説】東京の小学校火災 構造、救助袋……教訓を広く役立てたい2026年6月25日 19時00分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするこの社説のポイント●東京の小学校火災で11人がけが。教室の出入り口が一つなど構造上の課題も浮かぶ●多くの学校にある避難器具「救助袋」が使われなかった。経緯は検証を●学校火災は昨年208件。今回の教訓を全国の学校防災に役立てなければならない

[PR]

惨事はかろうじて回避された。この火災から多くの教訓を引き出し、全国の学校防災に役立てなければならない。 東京都北区の滝野川第三小学校で火災が起き、児童と教職員計11人が負傷した。学校火災、昨年は200件超 総務省消防庁によると、2025年に全国で発生した建物火災は約2万2千件。うち学校で起きたのは208件で、負傷者は33人。学校での火災は珍しいことではない。 日常的に調理や実験をするなど火元となりうる場所を絞り込み、着実に対策を立てた上で、他の場所には出火につながるものを置かないことを徹底し、日々点検する。当然のことをまずは確認したい。 今回の火災では、構造面の課題も浮かぶ。一般的な教室なら出入り口が二つあり、廊下に出れば左右どちらにも移動可能で、火元から遠ざかることができる。だが第三小では、火元とみられる準備室の隣にある音楽室は校舎の行き止まりに位置し、一つしかない出入り口の前の廊下には煙が立ちこめていたという。回廊型や、両端に階段の校舎も 各地では、校舎を「ロの字」の回廊型にしたり、校舎両端に階段を配置したりして、どの教室からも「廊下を火元と反対方向に進むことができ、その先の階段で避難できる」構造にしている例もある。避難経路の確保策として参考になるのではないか。 むろん校舎の新設や改修には費用も時間もかかる。そこで、避難経路が限定される教室は例えば倉庫などとして使い、大勢がいる状況を作らないことも一案だろう。 出火当時、音楽室には5年生24人がいた。スプリンクラーは学校の場合11階以上でのみ義務付けられ、4階建ての校舎にはなかった。教員は児童を避難させようとしたが、廊下には煙が充満。音楽室には地上に滑り降りるための避難器具「救助袋」があったが、教員は煙が迫る中で使用は困難と判断。校舎のひさしに児童を移動させたという。 救助袋を設置している学校も多い。今回の経緯は検証が必要だ。第三小では救助袋を実際に使う訓練は近年行われていなかったという。切迫した時も円滑に使えるよう、訓練のあり方の見直しや、器具の操作をより簡易にすることも検討課題だろう。 警視庁の調べに、音楽担当教員は、準備室で洗濯物を乾かしていたと説明しているという。準備室には電気ストーブもあった。出火原因の解明が待たれる。 避難の際、恐怖を味わった子も多いだろう。近くの学校に分散して登校することになる児童らもいる。心のケアには十分な配慮をしてほしい。教室の「救助袋」は使えず 迫る煙、閉じた防火扉 窓からひさしへ「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません