現場からメキシコ市=田村剛印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする

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「娘や息子を捜してほしい」――。サッカー・ワールドカップ(W杯)北中米大会の開幕に沸くメキシコで、世界に向けて声を上げる人たちがいる。犯罪組織に連れ去られるなどして突然、消息を絶った行方不明者の家族だ。被害者は国内で13万人を超えるとされ、「W杯開催国の深刻な実態を少しでも知ってほしい」と訴えている。 「ボールは家に帰る。行方不明者はいつ帰ってくるのか」 W杯開幕が迫った5月31日、メキシコ市中心部のレフォルマ通りで、複数の大きな顔写真を掲げた女性たちが声を上げた。突然姿を消した我が子を捜し続ける母親たちだ。 近くにある環状交差点の壁には数年前から、おびただしい数の男女の顔写真が貼られている。支援団体が貼った行方不明者のもので、約2100枚あるという。支援者は「これでも全体の一部。家族が日々やってきては、新たに上から貼っていく」と話す。W杯の異様な幕開け 歓声が響く中で警官と市民が衝突、何が起きたか報復、見せしめ…… 誘拐の背景 ベロニカ・ロサスさん(53)の息子ディエゴさんが中央部メキシコ州で姿を消したのは、2015年9月4日のことだった。 ディエゴさんは当時16歳。趣味はスケートボードで、サッカーの大会にも出たことがある運動好きの高校生だった。いつもの帰宅時間を過ぎても家に戻らず、外に捜しに出ようとした際に電話がかかってきた。 「お前の息子を人質に取った。金を渡さなければ二度と会わせない」 男の声に、恐ろしさで全身から血の気が引いた。電話の向こうで、犯人に傷つけられる息子の叫び声が聞こえた。 要求額は300万ペソ(約2…この記事は有料記事です。残り1274文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんこの記事を書いた人田村剛ニューヨーク支局長専門・関心分野アメリカの社会や文化、民主主義、人権、移民問題関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする