2026年6月18日 19時00分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするこの社説のポイント●G7サミットは決裂を免れ、米イラン停戦合意の支持やウクライナ支援などで一致●法の支配や国際協調といった価値を軽視する米国の姿勢が、G7の結束を崩してきた●停戦後の秩序づくりへ、日本も橋渡し役として外交と対話の枠組み強化に力を尽くすべきだ

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決裂は避けられたが、真の結束回復はなお遠い。 仏エビアンで開かれた主要7カ国(G7)首脳会議は、米イラン停戦合意への支持やウクライナ支援拡大などで一致した。包括的な首脳宣言は見送られたものの、ホルムズ海峡の航行再開や対ロ圧力強化など最低限の共通認識は確認した。昨年は途中で帰国したトランプ米大統領も最後まで議論に参加した。 中国やインドなど新興国の台頭で経済問題の主舞台がG20に移るなか、G7は民主主義や法の支配などの価値を共有する政治対話の場へと役割を変えてきた。 その前提が大きく揺らいでいる。トランプ米政権は価値よりも取引を重視し、国際協調への関心も薄い。各国の首脳が腐心したのはトランプ氏との対立を封印し、会議を成立させることだった。ベルサイユ宮殿での夕食会など異例の配慮が重ねられた。 欧州側にはウクライナ支援や欧州の安全保障に米国をつなぎ留めたい切実な事情がある。トランプ政権もイラン停戦後の秩序維持には各国との協力が欠かせない現実に直面した。それを米国が認識したのであれば、サミットの数少ない成果だろう。 限界も露呈した。停戦への仲介で中心的役割を果たしたのはパキスタンやカタールだ。G7だけで危機を収拾できる時代は去り、中堅国や地域大国との協力は必須だ。 それでもサミットでは、停戦合意の履行やウクライナへの支援に加え、感染症対策やデジタル空間の未成年保護などで一定の合意を得た。 気掛かりなのは、近年の中心テーマだった気候変動対策や関税問題を巡る議論が後景に退いたことだ。温暖化や自由貿易に懐疑的なトランプ氏への忖度(そんたく)だとすれば、看過できない。 今回の停戦は出発点にすぎない。高濃縮ウランの扱いや復興支援の枠組みなど詰めの交渉はこれからだ。法の支配と国際協調に基づく粘り強い外交が欠かせない。 高市早苗首相はエネルギー安全保障や供給網強化の必要性を訴えたが、日本に期待される役割はそれだけではない。G7唯一のアジア参加国であり、イランとも一定の関係を持つ国として、分断を和らげる橋渡しに、より主体的に取り組む必要がある。 G7が直面するのは単なる米欧対立ではない。枠組みの中核を担う米国が、みずから築いてきた国際秩序を崩しつつある現実だ。G7は今後も法の支配と外交を軸とする共同体であり続けられるか。その真価が問われる。「トランプ氏が強い指導力」 G7閉幕、亀裂を避けて結束アピール「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする