インタビュー吉行淳之介への義務を果たした「やわらかい約束」 作家・村松友視印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする
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語る 人生の贈りもの 作家・村松友視(3) 《編集者時代に33歳で結婚。妻の範子さんとは中央公論社の先輩の紹介で出会った》 相手は岩手の人で、東京に出てくるから会ってみないかって。僕は29歳だったけど、貯金もゼロだし、全然結婚する気はなかった。自分の家庭環境を考えても、結婚適格者とは思えなかった。でも会った瞬間に一目ぼれ。結婚する根拠とかを考える以前に、自分とは違って健全な家族に囲まれて育っただろう彼女の雰囲気に惹(ひ)かれた。で、すぐに結婚を前提としたつきあいを申し出たんです。 その後、僕がカミさんの実家に行ったり、カミさんが東京へ出てきたり。でも編集者なんて職業に心配があったんでしょうね。興信所に頼んだらしくて、ある日女の人が出入りしているという報告があった。それを聞いたカミさんは「それ、アタシ」って。そんなやりとりをユーモアとして共有できるようになると、他人にはうかがいしれない感じの仲になるんだよね。 《1995年、愛猫との21年にわたる生活を「アブサン物語」として発表し、ベストセラーに。猫の愛らしい生態はもちろん、アブサンをめぐる夫婦のやりとりがほほえましい》 直木賞を受けてから僕が家に居着かない日々が続いて、不安だったカミさんはアブサンによって落ち着きを得ていたと思うんだよね。初めは猫のことを全く知らなくて、喉(のど)をゴロゴロ鳴らしているのを怒ってるって思ってたくらい。それがだんだんアブサンを一番わかっているのは自分だって感じになって。最期に動かなくなった後に「あと30分、抱いて寝ていいかしら」と言うから、うなずいたら、彼女の腕の中で失禁して大往生した。彼女はものすごい充実感に満たされたはずだけど、それまでの経緯を考えると、何だかなぁって感じですよ。感服、吉行さんのダンディズム 放っておくとね、ふわっと消えちゃいそうな人に目をつけて引っ張っていく感じなのかな。 《芸人のトニー谷、歌手の水原弘……。浮き沈みの激しい人生を送った人物の評伝的な作品を多く書いてきた》 中学生のころに祖父(村松梢…この記事は有料記事です。残り2265文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする






