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My吹部seasons 5月上旬の新緑の季節。強い風が吹くその日、千葉県柏市の柏の葉公園では、県内の多くの吹奏楽部が参加した「ザ・ワールド・オブ・ブラス」が開催されていた。 あちこちから明るい音が響いてくる中、屋外ステージに初々しさを感じさせる高校が登場した。 笑顔をきらめかせながら《およげ!たいやきくん》を演奏し始めたのは、県立我孫子高校吹奏楽部。そして、楽しげに指揮をする黒いスーツ姿の男性こそ、同校教諭で4月から新顧問に就任した伊藤巧真だった。 何を隠そう、伊藤は県立幕張総合高校シンフォニックオーケストラ部(幕総オケ部)を率い、2023年から25年まで全日本吹奏楽コンクールで3年連続の金賞を成し遂げた名指導者だ。 それに対して、我孫子高校の部員数は40人。幕総の約6分の1に過ぎない。これまでコンクールで目立った成績を残しておらず、ここ2年間はB部門(小編成)に出場していた「ごく普通の吹部」。 ザ・ワールド・オブ・ブラスは伊藤が我孫子高校に異動して約1カ月、部員たちと迎えた初の本番だった。 ♪ 「我孫子高校への異動は青天のへきれきでした」と伊藤は語る。 初めて我孫子高校の音楽室を訪れたとき、そこが整理されておらず、掃除も行き届いていないことに伊藤は気づいた。 いざ新年度の部活が始まると、部員たちはきちんと楽器に息を吹き込めておらず、十分に鳴らせていなかった。演奏以前に、自発性が薄く、返事やあいさつも少なかった。 伊藤はそれを「我孫子マインド」と呼び、演奏よりも何よりも、まずその払拭(ふっしょく)に取りかかった。 「我孫子の部員たちには可能性がある。なのに、自分たちでそこにふたをしていた。何とかしてあげたいと思いました」 掃除をし、整理整頓をさせ、返事やあいさつをしっかりするようにうながし、「笑顔が大事だよ」と口を酸っぱくして言った。幕総との違いを痛感し、苦しさを覚えたこともある。 だが、異動から1カ月。ようやく吹奏楽部に変化の兆しが見えた。 ♪新顧問「みんなには可能性がある」 部員たちが抱いた希望 一方、伊藤を迎える側の部員たちも気持ちは穏やかではなかった。 3年生で副部長を務める茂木…この記事は有料記事です。残り2497文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする