深掘り海外の薬が日本で使えない 「ドラッグロス」トランプ政策の影響懸念後藤一也 福宮智代 伊沢友之印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする

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新薬を日本で発売したら損をするから日本では売らない――。海外で使える薬が日本では使えない「ドラッグロス」が拡大する懸念が広がっている。製薬企業がそう判断する理由は、米トランプ政権が打ち出した薬価政策。遠い米国の政策がどう影響するのか? 臨床現場からは不安の声も上がっている。【そもそも解説】米国の政策で日本に海外の薬が来ない? その仕組み 乳がんの治療に使う新薬「イムルリオ」は2025年12月、のむタイプの次世代のホルモン治療薬として、国内で初めて承認された。 ところが、26年5月になっても薬価が決まらず販売されていない。同時期に承認された他の薬の多くは3月、遅くとも4月には薬価が決まり、販売が始まっている。 国内で乳がんと診断される人は年10万人。イムルリオは「ホルモン受容体陽性HER2陰性」という乳がん患者のなかで最も多いタイプで、がんが進行あるいは再発した人が対象となる。1日1回ののみ薬で病気の進行を遅らせることをねらう。 乳がんのホルモン治療薬は、徐々に効果が薄くなる。近年、効果が長く続くものも開発されているが、それでもいずれはがんに遺伝子変異が起きるなどして、効果がなくなってくる。そのため、複数の製薬企業が、変異があっても効果がある次世代の薬の開発に取り組んできた。 国立がん研究センター中央病院腫瘍(しゅよう)内科の下井辰徳医長は、イムルリオについて「患者数も多く、期待が高い薬だ」と話す。薬を使うための検査が限られているという課題はあるが、年間で最大数万人が対象となる。 一般的に薬事承認から90日以内に薬価収載されないのは異例。下井さんは「発売が遅れている原因が米国の制度なのか知りたい。米国の制度が原因であれば、今後も患者に薬が届くまでの期間が長くなってしまう可能性がある」と不安視する。「ドラッグロス」の仕組みは 問題になっているのは、トランプ米大統領が昨年5月に大統領令に署名した「最恵国待遇(MFN)」価格にするという政策。米国の低所得世帯などを対象とした「メディケイド」と、高齢者らを対象とした「メディケア」の医療保険に加入している人が利用する薬の価格が、日本を含めた他国の価格と連動して下がることになる。 大統領令には「米国民は同じ工場で製造されたまったく同じ薬に、ほぼ3倍の価格を払うことを強いられるべきではない」と書かれている。 米国では、薬の価格が他の国…この記事は有料記事です。残り2578文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんこの記事を書いた人後藤一也くらし科学医療部|医療担当専門・関心分野科学、医療関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする