【社説】ホルムズ海峡の開放急ぎ、船員の命を守れ 食料不足など苦境2026年5月19日 19時00分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするこの社説のポイント●ホルムズ海峡の事実上の封鎖で、立ち往生する船舶の乗組員らの苦境が深まっている●国連は海上回廊の設置を模索するが、米国とイランの交渉は停滞し、見通せない●国際社会は両国に対し、まず海峡を開放するよう強く働きかけるべきだ

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攻撃の巻き添えになることにおびえ、水や食料が尽きる不安に耐える。船員らが「洋上の刑務所」と嘆く危機的な状況は放置できない。国際社会は、早期に事態の打開に動く必要がある。 ペルシャ湾の出入り口ホルムズ海峡が事実上封鎖されてから2カ月半になる。 世界の石油と液化天然ガスの供給量の2割が通るため、経済への影響が懸念されるのは当然だ。ただ、同時に見過ごせないのが、湾内で立ち往生する船舶の乗組員が直面する厳しい現実だ。 国連の専門機関・国際海事機関(IMO)によると、その数は約1500隻、2万人にのぼる。 2月末に米国とイスラエルによるイラン攻撃が始まって以降、30隻以上の船舶が攻撃を受け、少なくとも11人が死亡した。IMOのドミンゲス事務局長は「貨物には保険をかけられるが、人の命は取り戻せない」と語った。 英国の船員支援団体の調査によると、乗組員たちは恐怖と緊張を強いられている。ドローンやミサイルが低空飛行するのを目撃したり、戦闘機が船のすぐ近くを通過する音を聞いたりするからだ。 生活必需品の不足も深刻になっている。海水を沸騰させて飲んでいる、食事を1日1回に制限せざるを得ないなどの声も報告されている。 船員の交代は、一部にとどまる。長期の航海を想定していたことや、戦闘地域に代替要員を送り込むことが難しいことなどが理由だ。 国連は、船舶の避難を可能にする海上回廊の設置を模索している。だが、ドローンやミサイルの攻撃を受けないとの確証が前提となる。 米国とイランは4月上旬に停戦したが、その後の交渉は停滞している。散発的な攻撃の応酬もあり、回廊の設定は見通せない。 戦力に劣るイランが海峡を封鎖した。米国はイランへの船舶の往来を封じ込めた。イランは通航料の徴収など海峡の管理権を主張する。米軍はイラン船籍のタンカーを攻撃するなど双方が譲らず、緊張は高まったままだ。 自由な航行が認められるべき国際海峡の命運を米国とイランの交渉に委ねるのはおかしな話だ。国際社会は両国に対し、イランの核開発や戦闘の終結などの懸案とは切り離し、まず海峡を開放するよう強く働きかけるべきだ。 日本の事業者が運航するなどの日本関係船舶も約40隻が湾内に取り残されている。日本も各国と協調し、人道危機ともいえる事態の解消に努めることが求められる。エネルギー危機は避けられるのか ホルムズ封鎖で考える三つのリスク「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする