2026年9月8日 11時00分鈴木彩子印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする

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時間を守る、計画を立てる、といったことが苦手な注意欠如多動症(ADHD)の大人への集団認知行動療法の効果は長く続くのか――。8年間にわたって調べたところ、継続的なフォローがなければ「リバウンド」をするが、当事者同士で励まし合うなどすれば、症状が改善する可能性があることが分かった。九州大学やスペインの大学などの研究チームがまとめ、科学誌に発表した。 時間の使い方や、ものごとの優先順位のつけ方などの「時間管理」についてグループで学ぶ集団認知行動療法を受けると、ADHDに特有の「不注意」のスコアが大きく改善することが、これまでの研究では示されていた。だが、研究者によるフォローが終わった後、実生活に戻った参加者たちの実態についてはよくわかっていなかった。 研究チームは、ADHDと診断された48人を2グループに分けた。片方には、通常診療に加え、時間管理について学ぶ計8回の集団認知行動療法を実施。もう片方は通常の診療のみを行い、まず8カ月後までを先行研究として調べた。その後、5年後に再び参加者に連絡をとり、8年後まで追跡。不注意のスコアが改善するかどうかを調べた。改善、でも5年後は… その結果、集団認知行動療法を受けたグループは、8カ月後の時点で不注意のスコアが10ポイント以上改善していた。通常診療のみのグループは、改善が見られなかった。 ところが、5年後の時点ではどちらのグループもスコアが悪化していた。そこで、集団認知行動療法を受けたグループの希望者に、スマートフォンのアプリを使って、参加者同士が励まし合うグループチャットツールを導入。8年後まで経過を見たところ、先行研究が終わった時点の水準まで、スコアが再び改善する傾向がみられた。ツールを使わなかったグループと、通常診療のみのグループは、悪化したまま改善がみられなかった。一度学んでいれば、再び改善の可能性も 研究チームの、九州大学大学院学術協力研究員で臨床心理士の中島美鈴さんによると、ADHDの特性がある人は「飽きっぽい」こともあり、長期的な効果を確かめる研究は世界的に見ても珍しいという。 今回の研究は参加者が少なく、結果から言えることは限られるが、中島さんは「時間の使い方や、特性についての基礎知識などを一度学んでいると、時間がたってから症状が改善する傾向が確かめられた。一人ひとりに合ったツールを組み合わせて使うことで、ADHDの特性による困りごとを長期にわたって克服できる可能性がある」と話した。 論文は科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に発表した(https://www.nature.com/articles/s41598-026-68665-6)。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません