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収蔵品数やオークションの落札額で男性が長年優位だった美術界に立ち向かい、女性作家による作品だけを収蔵・展示する美術館が米ワシントンにあります。来年、創立40年を迎える女性芸術美術館NMWA(ニムワ)です。美術界にジェンダー平等はもたらされたのか。スーザン・フィッシャー・スターリング館長に聞きました。【特集ページはこちら】ジェンダーを考える Think Gender私たちは美術館でありメガホンでもある ――1987年の開館以来、女性アーティスト(作家)やその作品への見方はどう変化してきましたか。 「設立初期の報道を振り返ると、存在理由を理解しない人がたくさんいて、悪意のある報道もかなりありました。ひどく上から目線のものでした。女性作家や、この美術館のアイデアがいろいろな形でおとしめられたのは、それが、新しい考え方だったからでしょう」 「創設者のウィルヘルミナ・ホラデイには、偉大な女性作家を代表する施設(美術館)を作りたいという先見の明がありました。誰もこれを考えたことがなかったので非難されることもありましたが、多くの場所で受け入れられました。彼女が言ったように、多くの議論を通じて、私たちは世間に知られるようになったのです」 ――コロナ禍の時期の大規模改修を経て、2023年に再オープンしました。 「女性だけの美術館は必要なのか、と問う記事もまだありましたが、その記事での答えはイエス(必要だ)でした。1987年から2023年までの間に、この美術館の存在は理にかなった正当なものであること、さらに言えば、それにとどまらない重要な役割を果たし、将来も重要な役割を果たすだろうという認識は、もう議論の余地のないものになりました。我々にはNMWAが必要なのです。それが必要でなくなるまでは」 ――18年間館長を務めたなかで最大の業績は。 「軽々しく言うつもりはありませんが、(当初、考えが理解されなかった)創設者ホラデイやこの美術館の関係者、そして各国に作った(女性作家を見いだす)委員会を支援し続けてきたことが最大の業績だと思います。美術館が独り立ちして、女性作家を支援する組織として国際的に知られる団体になるよう、みなさんの助けを得ながら支援し続けてきたと本当に感じています」 「私たちはこの美術館は、女性作家が活躍するための特別な場であると考えてきました。すぐれた美術を通じて、女性にとってのエクイティ(社会的な意味での公平性)についても絶えず話してきました。女性が偉大な作家であることを証明できれば、人々は女性も作家なんだと考えるようになる。こうしたことこそ、この美術館が目指してきたことです」 ――いい絵があっても、だれが描いたのか知られていない例もありますね。 「この美術館には、アドボカシー(権利擁護の提唱者)としての役割があります。私たちが、他の美術館と違うのは、私たちは美術館であると同時にメガホンでもあるということです。私たちは本当に女性の芸術活動を擁護するために時間を費やしています」 「女性作家について歴史的な作家、現代の作家ともに再評価される必要があります。例えば(英国の画家)グウェン・ジョン(1876~1939)は現代の画家ですが、その評価は見直されています。この美術館は、すべての現代作家の作品を展示する場ではありませんが、多くのすぐれた女性現代作家の作品を展示する場なのです」アート界が映す、より大きな世界 ――美術の世界で女性作家の割合は。 「美術画廊全体で見れば、女性作家の数が増えましたが、女性は依然として作家全体の40%に過ぎません。60%が男性です。男女のパリティ(同質性、平等)とは40対60ではないはずです。それは、エクイティとも言えない。我々は統計学者ではありませんが、ほかの人たちが示した統計を通じて女性作家の権利を高めていくことは重要です。ほかの美術館や画廊にも女性作家の比率を高めていくよう提唱してきました。私たちは美術界の生態系を変える波の頂点に位置し、波とともにあり、その波を率いてきたと自負しています」 ――アートの世界におけるパリティについてもう少し詳しく教えていただけますか? 「パリティとは、(人口比などにしたがって)均等に代表することです。アートの世界では、数人の代表例があると、人々はパリティを達成したと考えがちです。草間彌生さんがいるじゃないか、とね。5人の女性作家がオークションで非常に成功すれば、ああ、問題は解決した、となる。でもそれは問題の根源でありません。トップレベルの数人に過ぎず、そのうちの何人かはすでに亡くなっています。大切なのは、女性作家を日々どうやって継続的に紹介し続けていくかということ。それ自体が一つの発信なのです」 ――日本との関わりは 「NMWAには、日本を含め…