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【社説PLUS】社説を読む、社説がわかる連載「社説PLUS」毎日のテーマに何を選び、どう主張し、誰にあてて訴えるのか。論説委員室では平日は毎日、およそ30人で議論し、総意として社説を仕上げています。記事の後半で、この社説ができるまでの議論の過程などをお届けします。 食料品にかかる消費税の減税は、来年4月の実施に向けて歩みを着実に進めているように見えるかもしれません。高市早苗首相の強いこだわりのもと、8月5日に閣議決定されました。 本当に、前に進めてよい最善の歩みと言えるのか? 半年前の寒さ厳しい冬、首相は衆議院の解散を突然決めて、野党との争点を潰すかのように「私自身の悲願」と位置づけました。減税表明は季節が移って酷暑のさなか、しかしこの間一貫して、課題や懸念の解消に至っていません。 一方で、減税に反対する立場の社説に対し、読者の方からは「弱者を切り捨てるのか」「指摘するのが遅い」といったご意見をいただいてきました。 恩恵を大きく受けるのは消費額の多い富裕層で、支援の最大の目的にある中低所得層は取り残されないか。年5兆円もの財源の手当ては具体的に語られず、それでも医療や介護など社会保障の充実を望むことはできるのか――。 目の前では負担減となる減税が、回りまわって私たちの暮らしや経済を脅かしかねないリスク。さらには幅広い意見に耳を傾けようともせず、国の針路を誤りかねない首相判断の危うさ。社説が繰り返して主張を載せ、対案を示すのは、私たちの暮らしと未来に直結する選択だからです。【7月30日(木)社説】一線越えた首相の消費減税表明 社会保障の安定損なう無責任この社説ができるまで 論説副主幹・伊藤裕香子 この半年を振り返ると、特に7月下旬の国会閉幕までの間、朝日新聞の社説に何度も登場したテーマに、皇室典範の改正や国旗損壊罪の新設、副首都法案などがありました。 どれも、自民党が圧勝した衆院選を経て、日本維新の会との連立政権が力を入れる政策です。それぞれに多くの課題を抱え、幅広い分野から指摘を受けても、審議を十分に尽くしたと言えないなかで成立しました。 懸念に目をとめず、多様な意見を封じ込めるように持論を押し通す、政権の手法。暮らしに密着した消費税ではなおさら、同じことを繰り返してはならない。この危機感を根底に、消費税に関連する社説はこの半年で20本ほどにも及びました。 朝日新聞だけではありません。社会保障国民会議に参加した野党、おひざ元の自民党内、他の全国紙の社説も、様々な課題を抱える減税を急ぐよりも、「きめ細かな給付」の制度設計を急ぐ重要性などを、それぞれの立場から訴えています。 それでも、高市首相は歴代政権と逆方向へ、消費税の歴史で初めて減税する方針を表明すると言います。ならば、社説は改めて何を主張の柱に据えるべきか。 一連の社説を担当するのは、社会保障取材が長いベテランと、財政・金融政策に詳しい中堅の2人の論説委員。私も含めて3人とも、14年前に消費税率を10%まで引き上げる法案が成立した「税と社会保障の一体改革」の取材経験もあります。今回の首相表明を、過去から未来までの時間軸の中でとらえ、日本の立ち位置を「重大な岐路に立っている」と示す案を、社説の検討会議にかけました。視野が狭い「今だけ、ここだけ、自分だけ」 首相の言動に振り回されるのではなく、視野が狭く目先の人気取りに走る政権と自民党の責任を厳しく追及すべきだという主張に、同調する声があがりました。社説に出てくる「今だけ、ここだけ、自分だけ」は、いまの政権与党の風潮をわかりやすく表した、担当者ならではの言葉です。 一方で、減税は誰にとってもありがたいもの、法人税など他の税で財源確保はできないものか、といった疑問を抱く人は少なくありません。消費税の減税が支援の目的にそぐわない欠点を抱えている手段であることや、一筋縄ではいかない課題を、ぐっとわかりやすく伝える必要がある、という意見も出ました。 そして社説は、会議の議論につながる取材を重視しています。消費税の場合、与野党の政治家や霞が関の省庁、小売りの現場や有権者がいま何を考えているのかを、すくい上げる。政策決定過程で結論に至るまでに、どんな意見が出ているのかいないのか、真相に近づく取材も大切になります。 首相が方針を表明したから終わりではなく、大事な主張は繰り返し訴えていく。8月4日に配信した社説「消費税減税に突き進む自民党」の土台となった自民党の会合は、2人の論説委員が取材に向かいました。様子の一端は、社説検討会議で報告がありました。もう少し詳しい雰囲気を、2人に聞きました。■「良い勝負」だった自民党の…






