【社説】取り調べ、交際……相次ぐ特捜検察の不祥事 問題は組織に2026年7月31日 19時00分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアするこの社説のポイント●検察の不祥事が相次いでいる。個人の問題ではなく、構造的問題と捉えるべきだ●検事が相次ぎ刑事責任を追及される異常事態に加え、事件関係者との交際も明るみに●検察の役割とは何か、突き詰める必要がある。第三者を入れた検証が欠かせない

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公益の代表者であるはずの検事が、相次いで刑事裁判の被告席に立たされる異常事態だ。さらに、男性検事が捜査対象の女性と交際していた問題も明るみに出た。検察への国民の信頼はいま、大きく揺らぐ。個人の問題と矮小(わいしょう)化せず、検察組織の構造的な問題と捉えなければならない。 東京、大阪の地検特捜部検事が不当な取り調べをしたとして、特別公務員暴行陵虐罪に問われている。調べを受けた側の告訴・告発に対し、検察は不起訴としたが、これを不服とする「付審判請求」に対し、刑事裁判を開くことを裁判所が認めた。検事を対象に認められたのは初めてだ。「検察なめんな」と一方的に怒鳴り 大阪地裁で公判が始まった検事は、不動産会社の元部長が事件への社長の関与を否定するのに対し、「検察なめんな」と一方的に怒鳴り机をたたくなど長時間責め立てたという。その後関与を認めた元部長の供述をもとに社長は逮捕されたが、無罪となった。 不当な取り調べは東京の特捜部でも明らかになった。黙秘する社長に対し、検事は「黙秘を人のせいにするな」などと怒声を上げたという。 いずれの取り調べも録音・録画されていた。録音・録画は自白の強要をなくすなど捜査を適正にするために導入された。だが今回は、記録に残ることが不当な捜査の抑止力にならなかったことになる。問題視する声は上がらず 深刻なのは、検察内部でチェック役が置かれていたにもかかわらず、問題視する声が上がらなかったことだ。 密室で「自白」を強いる取り調べを自ら改められないのであれば、録音録画の対象拡大や、弁護人の立ち会いも論点に上ってこざるをえない。 また、違法な取り調べを訴える国家賠償請求訴訟で、国が提出した取り調べ映像について、メディアに提供しないよう国が原告側に求めた例もある。捜査が適正かの検証を妨げる動きで、本末転倒だ。 東京の特捜部では、別の男性検事が、捜査対象で有罪となった女性と不適切な交際をした事案が発覚。法務省が懲戒免職処分とした。 検察の役割は何か。適切な処罰だけでなく、無実の人は処罰から守り、公正な裁判の実現に向けて努力することだ。ところが前者が過度に重視され、筋書き通りに自白を得る検事ばかりが評価されてこなかったか。純粋培養で同質性の高い人事のもと、組織全体を客観視する力が弱いのではないか。 こうした問いを、突き詰める必要がある。自浄作用に過度な期待ができない以上、まずは第三者を入れての徹底的な検証が欠かせない。「検察なめんな」の元特捜検事、無罪を主張 「罪は成立しません」元特捜検事を免職、法務省「信用著しく損ねた」 捜査対象者と交際「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする