深掘りカブトムシやクワガタを放さないで 遺伝子解析からリスク浮き彫りに編集委員・小坪遊印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする

[PR]

夏休みに帰省先から持ち帰ったり、ペットショップで購入したりした虫は、野外に放さないで――。そんな注意を見たことがある人は多いはず。地域固有の遺伝子への悪影響が懸念されるからだ。リスク評価に欠かせない科学的な根拠はこれまで限られていたが、近年相次いで発表された。 「カブト虫・クワガタ虫をたまごから育てよう」。近所のホームセンターのペットコーナーをのぞくと、そんなパネルが目に飛び込んできた。国内にすむカブトムシとオオクワガタを例に、飼育法が解説してあった。 パネルの下の棚には、プラケースやおがくずのマット、止まり木やゼリーなどの飼育用品がぎっしりと並ぶ。今も夏と言えばカブトムシやクワガタムシの飼育は人気だ。 ただ、心配されていることもある。野外に放されたり、逃げ出したりした個体が、販売元や飼育中に保有した病原体や寄生虫を持ち出すことや、放たれた地域の個体と交雑することなどだ。 特に、交雑が引き起こす「遺伝的攪乱(かくらん)」には、長い進化の歴史で形成された地域固有の遺伝構造や遺伝的な多様性の損失を引き起こす懸念がある。最悪の場合、地域の気候や環境に適した遺伝子が失われ、地域における絶滅などにつながる恐れもあり、生物多様性への重大な脅威の一つとして認識されている。 環境省は、国内産であってもカブトムシやクワガタムシを野外に放さないよう、注意を促している。外来生物対策室の担当者は「飼育をする方の協力は不可欠だ。まずは最後まで飼うことを心がけて欲しい」と呼びかける。 2015年に作った「生態系被害防止外来種リスト」には、国内由来の注意が必要な生物として「北海道・沖縄のカブトムシ本土亜種」を掲載。現在進めているリストの改訂作業後も載せ続ける方向だ。リストに法的拘束力はないものの、活用が期待されている。担当者は「今後さらに対策を検討する上で、科学的根拠も重要になる」と話す。本土由来のカブトムシ、沖縄でも販売 そうした根拠となる、国内産のカブトムシやクワガタムシについて、広い範囲から試料を集めて解析したデータは限定的だった。最近、新たに相次いで出された研究結果から、放虫のリスクが裏付けられつつある。 25年10月、兵庫県立大な…この記事は有料記事です。残り1366文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんこの記事を書いた人小坪遊編集委員|セグメント編集長(先端科学)、生物多様性・環境専門・関心分野生物多様性関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする