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恐竜、昆虫、動物、魚、鳥、乗り物……。図鑑といえばこうしたテーマが定番ですが、昨年、より細かい「ティラノサウルス」と「サメ」を題材にしたシリーズが発売されました。いずれも発売後すぐに重版が決まりましたが、このニッチな図鑑はどのように生まれたのでしょうか。子どもたちに伝えたい図鑑の楽しみ方とともに、編集部に聞きました。図鑑の「極限」に挑戦昨年11月に発売された「学研の図鑑LIVEエクストリーム」シリーズの「ティラノサウルス」と「サメ」(税込み2420円)。エクストリームは「極限」を意味しますが、なぜこんなに狭さを極めたテーマを取り上げたのでしょうか。学研の図鑑LIVE編集長の松原由幸さんは、「熱心な読者の子どもたちと書店のリアルイベントや動画配信で交流したとき、『この子たちの強い興味関心は、通常の図鑑では受け止めきれないのでは』と感じました」と話します。「好きを深めたい」というニーズが、子どもからも親からも伝わってきたそうです。サメで「1冊作れる」確信そんな中、「サメ」を担当した高田竜(りょう)さんから「サメで1冊作れる。絶対に面白い」と企画書が出され、子どもたちのニーズと編集者の感覚が重なり合ったそうです。高田さんは、イラストと4コマ漫画で伝える「ゆるゆる図鑑シリーズ」でも「サメ図鑑」(2020年発売)を担当していて、サメ人気の高さを実感していたといいます。「各出版社から『危険生物図鑑』が出ていますが、表紙はどれもサメが描かれています。私の中で、サメはひとつの人気ジャンルであるという確信がありました」そこで、昆虫や恐竜、動物などをテーマにしている通常の図鑑シリーズではなく、「エクストリーム」として掘り下げるシリーズを企画。人気の題材としてティラノサウルスも挙がり、2冊同時に進みました。子どものころから図鑑を愛読してきた高田さんは、「魚好きであれば、各社のいろんな魚図鑑を読みます。サメの図鑑が出れば、すでに危険生物図鑑を持っている人でも読んでくれるだろうと考えていました」と振り返ります。図鑑はもともと対象年齢が広い読み物ですが、今回は子どもには少し難しいと感じる情報もあえて掲載しました。いずれも120ページという分量で、通常の図鑑ではページ数の関係で細かく記載できない情報をたくさん盛り込み、大人にも読み応えのある内容になっています。その狙いもはまってか、読者は子どもから大人まで広く、2冊とも発売後1カ月で重版が決まったそうです。書店からも好評で、店頭では2冊一緒に平積みする店舗もありました。サメの歴史は恐竜より古い「学研の図鑑LIVEエクストリーム サメ」は、世界に500種以上いるといわれる中から約100種を紹介し、バリエーションの豊かさを見せています。あごや歯、電気を感じる「ロレンチーニ器官」、うろこ、繁殖様式といった「サメのひみつ」だけでも16ページ使って説明しました。サメの仲間は恐竜より1億5000万年以上も前に生まれているといった歴史のコーナーもあり、古代ザメも掲載しています。後半では16ページにわたってサメと人間の関係を紹介。サメに襲われる確率や食用としてのサメ、絶滅危惧種といった情報が載っています。企画編集を担当した高田さんは、「この図鑑のほかに『サメ』をモチーフにした子ども向けの学習図鑑はなく、自由に内容を考えることができました。サメ好きにとっては知っている情報でもしっかり深掘りして、初めてサメにふれる子どもにもわかるように詳しく作っています」と話します。ティラノサウルスの頭骨の部位まで「ティラノサウルス」では、1種類の生き物の情報を深く紹介しています。骨格や筋肉、成長の過程、狩りの仕方を掘り下げ、プロケラトサウルスやディロングといった約30種の仲間を載せました。骨格の説明では、ティラノサウルスの特徴である大きな頭の骨を構成する部位の名前をすべて網羅し、「頭をじっくり見る」コーナーを作りました。企画編集を担当した編集長の松原さんは「僕が子どもだったら絶対に知りたいので、ここまでやろうと思いました」と話します。「通常4、5ページ程度しか割けないところを今回は100ページほど使えたので、情報をたくさん載せることができました。そこに宿る熱量は、きっと伝わる気がします」「ティラノサウルス」は、YouTubeチャンネル「有隣堂しか知らない世界(ゆうせか)」のオンライン即売会で、わずか10分37秒で4000冊売れたことも話題になりました。松原さんが2022年から「ゆうせか」にゲスト出演していて、「視聴者との関係性ができていた」と振り返ります。ポッドキャストでも楽しみ方を発信松原さんは「エクストリーム」シリーズに手応えを感じています。「好きなものを掘り下げる面白さを伝えるのは、何十年も科学キットや自然体験につながるコンテンツ制作をしてきた学研が得意なこと。これからも子どもたちの好きな気持ちを全力で受け止めていきたいです」現在、編集部では「聞く図鑑」というポッドキャスト番組や動画配信をして制作の裏側や図鑑の楽しみ方を発信しています。図鑑はストーリー性のある小説や漫画と違って、どこから読んでも内容を理解できます。だからこそ、あとからでもおすすめの読み方を伝えて「ファンの人たちと一緒に楽しめる」そうです。ポッドキャストや動画配信を通して、ファンのコミュニティーも育っています。「『学研の図鑑』に人格のようなものや体温があって、そこに共感する人が集まってくれるのが理想です。『エクストリーム』はひとつの手段。『学研の図鑑LIVE』シリーズ全体のファンになってもらえるように作っていきたいと思います」編集者発、図鑑の楽しみ方は?最後に、編集を担当したふたりに、それぞれの図鑑の楽しみ方を聞きました。サメを担当した高田さんは、子どものころから「外で見た生き物を図鑑で振り返る」アウトドア派。今も釣りや屋外アクティビティーが大好きで、子どもたちと一緒に出掛けているそうです。「自然を体験すると図鑑に対する見方も変わってきます。例えば、子どもは黄色い鳥を見たあと、図鑑でも黄色い鳥を探し始めるんです」「花壇に出てきたダンゴムシを昆虫図鑑で調べてみると、実は虫ではなくて甲殻類に分類されると書いてある。こうやって活動に合わせて図鑑を見るのもいいですし、テレビにサメが出てきた時、サメ図鑑で調べてみても楽しめると思います」一方、ティラノサウルスを担当した松原さんは「図鑑の絵を見て模写をしていた」そうです。「自然があまり身近になく、絵を描くのが好きだったので高田さんとは違う図鑑との接し方でした」子どもの頃に培った画力は今にも生きていて、読者からは「30秒で恐竜を描ける男」としても親しまれています。松原さんは「図鑑は本当にいろんな楽しみ方があって、正解をひとつにする必要はまったくないと思います。さまざまな状況の方々に向けて楽しみ方を発信していきたいです」と話しています。 ニュースが身近になるメディア「withnews」https://www.asahi.com/withnewsTikTokアカウント:https://www.tiktok.com/@withnewsYouTubeアカウント:https://www.youtube.com/@withnewschannel