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【GLOBE特集】再分配 Update(5)=全5回 人類史において不平等を大きく是正してきたのは、戦争や疫病などの「暴力的な衝撃」だった――。米スタンフォード大学教授で古代史家のウォルター・シャイデル氏(60)は、9年前の著書で、平和裏に平等化が進んだ歴史はないと指摘した。富の偏在が進む中、どう不平等と向き合うべきか。本人に聞いた。――2017年に出版された著書「暴力と不平等の人類史」(邦訳2019年)は反響を呼びました。 「数千年にわたり、文明のおかげで平和裏に平等化が進んだことはありませんでした。古代エジプトであれ、ローマ帝国であれ、米国であれ、それは変わらなかった。社会が安定すると、経済的不平等が拡大したのです。既存の秩序を破壊し、所得と富の分配の偏りをならし、貧富の差を縮めることに大きな役割を果たしたのは、暴力的な衝撃だった。それは(世界大戦など)大量動員戦争や革命、国家の破綻(はたん)、伝染病の大流行です。私は『平等化の4騎士』と呼びました」――戦争由来の平等化では、著書で1章を割いて日本を扱っています。 「日本は教科書的な事例です。戦中の物理的な破壊と、戦後の財閥解体、労働組合の結成、農地改革などが、所得と富の分配を平準化した。エリート層の所得に関する限り、日本は、1929年の大恐慌前夜の米国と同じくらい所得分配が不平等だった社会から、上位の所得シェアで現代の世界で最も平等な北欧の国に似た社会へと劇的に変貌(へんぼう)しました」――著書に「世界の下位半分と同じだけの富を、観光バス1台に乗れる62人の富裕層が持っている」との比喩があります。いまだと、どんな乗り物ですか。 「もっと人数の少ないミニバンでしょうね。イーロン・マスク氏やジェフ・ベゾス氏といった「テック界の領袖(りょうしゅう)」を全員乗せないといけません。驚くべきペースで富の集中が加速しています」――現在、パリやニューヨークなどの都市が社会住宅の整備など、再分配に取り組んでいます。 「原理的には正しい方向を向いています。いまや住宅が格差の主要な源泉になっているからです。特に戦後しばらくは個人の持ち家が歴史上初めて大規模に広がり、住宅に蓄積される富が広く分配されたが、近年は完全に逆方向です。住宅価格が他のあらゆるものを上回るペースで上がり、親が資産を持てば子が相続し、世代間移転が起きています」 「ただ、再分配が都市レベル…この記事は有料記事です。残り2088文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

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