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サッカー選手を引退してタクシー運転手になった女性が、テックボールの日本代表に選ばれ、世界選手権で日本初の銅メダルを獲得しました。異色のキャリアの背景にどんな思いがあるのか、聞きました。(朝日新聞withnews編集部・山野拓郎)日本テックボール史上初の快挙昨年、ルーマニアで開かれたテックボールの世界選手権。日本の坂本唯那(ゆいな)選手が女子シングルスで銅メダルを獲得しました。テックボールの世界選手権の表彰台は、男女を通じて日本初の快挙でした。テックボールは、サッカーと卓球を組み合わせたスポーツです。2012年にハンガリーで考案されました。中央部分が湾曲した台「テックテーブル」をはさんで、足や頭で、最大3回までのタッチでボールを返さなければいけないルールです。国際テックボール協会が発足してからまだ10年経っていませんが、すでに150以上の国・地域でプレーされています。世界的な人気をうけて、秋に開催される愛知・名古屋アジア大会の実施競技に急きょ、追加されることになりました。ヨーロッパの強豪撃破坂本さんは、日本におけるテックボールのトップ選手の一人です。世界選手権では、スペインの強豪を破って準々決勝に進出。準々決勝では、ドイツの新進気鋭の若手選手をフルセットの激戦の末に破りました。準決勝は、ルーマニアの実力者に惜敗しましたが、銅メダルを獲得しました。坂本さんは「フィジカル面は海外選手が圧倒的でかなり強くて、そこが一番苦戦しました。一方で細かい技術では私も負けていなかったと思います」と振り返ります。スポーツへの思いが消えず…大阪出身。小学生のころからサッカー一筋でした。全日本女子ユースサッカー選手権の決勝では、一時同点に追いつくゴールを決めました。日本のクラブチームを経て、海外のチームにも所属し、28歳でサッカー選手を引退しました。「28歳まで、ただボールをずっと蹴っていた人生でした。そろそろ引退して何か違う人生に切り替えていこうかなと思ったのです」引退後、タクシー運転手として働き始めました。ただ、胸の奥にしまいこんだはずのスポーツへの熱い思いは消えていませんでした。引退して1カ月後、知人から「こんなスポーツあるけどやってみいひんか」と、テックボールの映像を見せられ、「映像を見た瞬間になぜか高揚感に包まれて、めちゃくちゃ楽しそうだなと思いました。体験しに行ったら、一発でハマってしまいました」と振り返ります。タクシー運転手として働きながら、テックボールの練習に通う日々が始まりました。4カ月後、いきなりベトナムであった国際大会に出場し、MIXダブルスでベスト16という結果に手応えを感じました。「本気で世界一をめざそうと心に火がつきました」似て非なるボールコントロールサッカーとテックボールは、似ているようで大きな違いもあるそうです。一つは、ボールコントロールです。「サッカーはまず下に落としてトラップするけれど、テックボールは空中戦なのでボールをしっかりと上に上げないといけない。一番初めにつまずいたのはそこでした」ただ、共通する技術もあり、坂本さんは「サッカーでずっと足元の技術を磨いてきました。それがテックボールにも生きていると感じています」と話します。「テックボールって意外とめちゃくちゃ奥深い。様々な戦術があっていろいろな戦い方ができるんです。接触プレーがなく、海外の体の大きな選手とも技術を武器に渡り合えるのが楽しいです」最近、坂本さんが強化しているのはヘディングです。「男子だとヘディングですごい威力のボールが飛んでくることがあるのですが、女子でヘディングが強い選手は私が知る限り世界を探してもまだいない。それができたら面白いなと思って練習しています」アジア大会にかける思い秋にある愛知・名古屋アジア大会の正式競技にテックボールが追加されました。アジアのオリンピックともいわれる大会が日本で開催されるのは32年ぶりです。坂本さんは「私はテックボールを始めてまだ2年しか経っていないのですが、アジア最大級のスポーツイベントが日本で開催されるこのタイミングでテックボールが正式競技に追加されたことに運命を感じています」と語ります。アジア大会のテックボールは9月中旬に名古屋市内で開催される見込みで、日本代表はまだ決まっていません。「もし代表に選ばれたら、日本代表としてしっかりと戦って優勝できるように、日々強化していかないといけないと感じています」夢はテックボールで世界一になることと、自分のあとに続くテックボール選手に「道」を残すことだといいます。「テックボールはマイナースポーツというより、まだちゃんと競技をできる環境自体が整っていないのが実情です。私が活躍することで私たちの次の世代の子たちが夢を持ってテックボールを頑張れるような環境を作っていけたらと思っています」ニュースが身近になるメディア「withnews」https://www.asahi.com/withnewsTikTokアカウント:https://www.tiktok.com/@withnewsYouTubeアカウント:https://www.youtube.com/@withnewschannel